2006年05月16日
藤吉・三井化学社長が定例記者会見
機能性材料事業の拡大を加速と強調
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学の藤吉建二社長は16日に定例記者会見を開き、05年度の業績と04年中計の06年度のローリングの概要を説明した。

 05年度の業績については、「全体の連結経常利益こそ前期の797億円から620億円に減ったものの、かねてから拡充に特に力を入れている機能性材料部門の営業利益は順調に増加しており全体の営業利益に占める同部門の比率も前期を大幅に上回っている」と述べ、機能性材料部門の充実強化が計画通り進んでいる点を強調した。

 また、04年中計のローリングについては「07年度に1,000億円の連結経常利益を確保するとの当初の目標のクリアは決して容易でないが、引き続き機能性材料分野の事業の拡充に力を入れていくことによってぜひ目標を達成したい。当面の06年度は700億円を目標とし、そして07年度には石化・基礎化分野で500億円、機能性材料分野で500億円の合計1,000億円を確保するようにしたい」と語った。
 
 藤吉社長の発言概要は以下の通り。
○05年度の連結経常利益は前年度を約117億円下回って620億円になった。この要因としては(1)ナフサとC重油の価格高騰(2)償却方法の変更(3)PTAやTDIの中国向け輸出価格の下降の3点が挙げられる。

○しかし、機能性材料分野の製品は当社が最も得意とするPDPフィルターをはじめ大方の製品が狙い通り順調に育っている。05年度の同分野の営業利益は前年度を19%上回って209億円となり、全分野による営業利益に占める同分野の比率は前年度の22%から36%へと大きく引き上げられている。06年度は280億円を見込んでおり、その場合の構成比率は40%となる。

○続く07年度は当初の目標通り500億円の営業利益を目指す。一方の石化・基礎化分野でも同じく500億円を確保していくことにしており、したがって07年度のトータルの営業利益と経常利益の目標はともに1,000億円となる。04年中計で掲げた機能性材料分野の充実強化による高収益目標を変える考えは全くないということだ。

○04年中計の06年度ローリングの基本は(1)機能性ポリマー及びその製品群の育成・強化と石化・基礎化分野の収益力の強化を柱とする事業構造の変革と収益力強化(2)連結経営の強化(3)環境・安全・品質の確保の3点にある。

 うち機能性ポリマー及び製品群の育成・強化については、重点プロジェクトと戦略研究開発プロジェクトの推進によって安定した利益を確保していくようにしたい。重点プロジェクトでは、電子材料、情報材料、精密化学品、工業樹脂の4部門に経営資源の7割を集中投入して06〜07年度に合計100億円の利益増を実現するようにしたい。戦略研究開発プロジェクトでは、新規機能性ポリマーの開発、高機能エラストマーの開発、高機能フィルムの開発に2年度で合計100億円を投資していく。

 こうした積極拡大策の展開で07年度には機能性ポリマーズで500億円、機能性ポリマー製品群で300億円の合計800億円の売上げ増を実現、50億円の利益増を果たしたい。

○一方の石化・基礎化分野の収益力の強化については、(1)PPによる自動車材料の海外生産拠点の拡充(2)市原でのOCU装置の設置(3)大阪工場での重質原料対応炉の増設(4)市原と大阪の両工場における石油精製企業との連携による分解原料の多様化等によるプロピレンチェーンの強化を柱の一つにして狙いを実現していきたい。また、PTAやPHさらにはBPAといった製品のアジア地域での設備投資や出光興産との提携でLNRの再稼動によるBZの自給力の強化といったアロマチェーンの強化にも大いに力を入れていきたい。