2002年05月30日
三菱レイヨン、MAとDMFの国内価格を引き上げへ
6月21日出荷分からいずれもKG20円アップ
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三井化学、三菱ガス化学、三菱レイヨン

 三菱レイヨンは30日、メチルアミン(MA)とジメチルフォルムアマイド(DMF)の国内販売価格を6月21日出荷分からそれぞれ1キログラム当たり20円引き上げると発表した。上げ幅はいずれも10%ていどとなる。
 
 値上げの理由については、公害対策投資やメンテナンス費用負担の増加、さらには液化ガス輸送コスト負担増などによってかねてから採算が厳しい状況にあるのに加えて、原料メタノールやアンモニアの価格がここにきて高騰してきたことを挙げている。同20円の値上げのうちの半額は原料費の高騰分に当たると説明している。
 
 今回の値上げの対象となる2品目のうちのMAは、ゴム薬、農薬、カチオン系凝集剤、界面活性剤、イオン交換樹脂、飼料添加剤--などきわめて広範な用途を持つ典型的なファインケミカル製品。全消費量の8割はDMF原料として消化されている。企業化メーカーは同社のほか三菱ガス化学と三井化学の2社を数えるのみ。
 一方のDMFは、広く有機、無機の各種物質に対して強力な溶解性を発揮する点が特に評価されて、人工・合成皮革用を始め、医薬、電子材料分野向けの溶剤として多くの市場で人気が急上昇中。特に今年春以降はウレタン・電子材料分野の国内需要の回復が顕著となっている。また中国を中心にアジア市場でも需要が活発で、このため世界的に需給は極めてタイトな状況にある。国内メーカーは同社と三菱ガス化学の2社だけ。しかもこのうちの三菱レイヨンは、5月10日から6月10日まで横浜工場内のMAとDMF設備が定修のため運休中とあって一段と逼迫している。
 こうした事情が支えになって、DMFの輸出価格は国内に先行して上昇している。今年1月の中国ユーザー渡し価格はトン当たり700ドルていどであったが、最近は同850ドルまで上っている。