2006年05月30日
三菱化学、米UDC社と塗布型リン光有機EL材料を共同開発
【カテゴリー】:経営(海外)
【関連企業・団体】:三菱化学

 三菱化学、三菱化学科学技術研究センター及び米・Universal Display Corporation(UDC、本社:ニュージャージー州)の3社は30日、塗布型リン光有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)を共同開発していくことで合意したと発表した。

 有機ELは、液晶のようにバックライトを必要とせず、原理的には紙のように薄くてフレキシブルなディスプレイを実現することができる。また、視野角が広く、画像の応答時間も液晶の1000分の1と速いなどの特徴がある。
 
 現在は携帯電話、カーオーディオ、携帯型音楽プレーヤーなどの表示画面に使われているが、将来は液晶やプラズマに並ぶ薄型ディスプレイ用途や、照明分野への応用が期待されている。

 3社が共同開発する有機EL材料は、リン光による高発光効率化と塗布プロセスによる低コスト化が期待され、従来の蛍光型有機ELよりディスプレイの大型化に適していると有望視されている。
 
 三菱化学グループは、ディスプレイの大型化につながる世界最高効率の青色塗布型有機EL素子の開発に成功するなど、有機ELの研究開発では、世界トップレベルの技術力を有している。また、UDC社は、特にリン光を用いた有機ELで世界有数の特許を保有している。

【三菱化学 常務執行役員CTO/三菱化学科学技術研究センター社長 小林 喜光氏】
 有機EL技術の世界的リーディングカンパニーであるユニバーサルディスプレイ社との共同開発合意は、塗布型有機EL材料開発の大きな一歩となる。三菱化学は中期経営計画で、ディスプレイ向けの新規材料開発を重点研究開発の1つに位置付けている。この目的が早期に達成されるよう期待している。

【ユニバーサルディスプレイ社 社長兼COO Steven V. Abramson氏】
 三菱化学社の有機EL及びインクフォーミュレーション技術と、当社の有機ELリン光技術をベースにすることで、更に革新的な材料が開発できる。世界的化学会社である三菱化学の塗布型有機EL実現への強い意欲と決意は、この分野に大きな市場が存在していることを示しており、今回の合意により塗布型リン光有機EL技術の開発が加速されることを期待している。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1148967098.doc