2006年05月30日
三井化学、PH等の価格フォーミュラーの一部改定へ
原料費以外のコストアップ分についても転嫁目指す
【カテゴリー】:市況(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学は30日、フェノール(PH)とアニリンの国内販売価格フォーミュラーの一部を改定することにして需要家各社に説明するとともに説得を開始したと発表した。

 これは、両製品の国内価格を形成するフォーミュラー、国内のベンゼン(BZ)価格+スプレッド(付加価値)のうち、過去1年以上も転嫁できないできたスプレッドの拡大分を製品価格に転嫁するというもの。

 これまで未転嫁のままきたスプレッドの中身は、C重油の高騰に伴う用役費や物流費、さらには製品への加工費や海外相場との格差ならびにマージンなど。同社によると、過去1年間で拡大したこれらスプレッドの総額はPHで1キログラム当たり14〜18円、アニリンで同19〜23円に達しているという。

 今回は、これらについても原料BZの価格の変動同様に製品価格に転嫁することにした。過去およそ1年は同社でカバーしてきたが、それも限界にきてこののままいくと大幅な採算割れを招くことになるので、どうしても需要家各社の理解を得て実現したいという。

 7月1日出荷分からPHの場合で国内のBZ価格にキログラム当たり14〜18円、アニリンの場合でBZの国内価格に同19〜23円をそれぞれ上乗せした価格を新たに採用していくことになる。アニリンのスプレッドがPHより同5円高いのは、アンモニアの値上がり分を同5円加算する必要があるためと説明している。

 PHもアニリンも最近の需給バランスはアジア全域でタイト化が急速に進んでいる。これは、アジア域内のみならず欧米でも今年3月以降にPHメーカーの定修や運転トラブルによる設備の運休が相次いでいるためで、これに伴いアジア地域の最近の市況はBZの国際相場の急騰もあって両盛品とも急上昇している。

 先週末のアジア地域の契約価格の平均は、PHがトン当たりC&F1,300ドル、アニリンが同1,350ドルとなっており、1ヵ月前に比べると100〜130ドル上がっている。しかも、世界各地における定修はこれからなお2ヵ月近く続く見通しにあり、両製品メーカ-に取って売り手市場がしばらく続くことになる。