2006年05月31日
三菱ケミHD、石化ビジネス拡充策を発表
PPコンパやPC等のグローバル展開に注力
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三菱ケミカルホールディングス

 三菱ケミカルホールディングスの冨澤龍一社長は31日、新國時生・三菱化学常務ら三菱化学の石化セグメント幹部とともに記者会見し、三菱ケミカルHDの中期経営計画「革新-Phase2」の進捗状況を説明するとともに、石化セグメントの中期強化戦略の概要を明らかにした。

 中計の進捗状況については「マザーラボ、マザープラントの深化・強化による高機能商品の開発等で自動車やエレクトロニクス分野を中心とした需要家のグローバルな事業展開に寄与するとともに、自らの選択・重点事業の充実・強化も着実に実現できつつある」「今後も独自の優れた技術と製品の開発によってPPコンパウンド、DVD、PTAといった得意の事業のグローバルな展開によって自らの経営基盤の強化も果たしていきたい」と述べ、高度な技術力を生かして国際舞台で需要家とともに発展していく考えをあらためて強調した。

 一方、石化セグメントの戦略については新國常務が基本方針と各事業部門の戦略を紹介した。
 同常務は「集中事業のグローバル展開と国内基盤事業の維持強化による利益の増大が基本」と指摘。「グローバル展開すべき事業としてはPTA、PPコンパウンド、機能性樹脂、PC(ポリカーボネート)チェーン、1,4-BD/PTMGの5部門が挙げられる」と説明、一方の国内基盤事業の強化に当たっては、「プロピレンやベンゼンの増産、原料の多様化、コンプレックス全体の付加価値向上を目的に(1)コンビナート他社との協業(鹿島ハイドロカーボン)(2)コンプレックス運営のトータル生産最適システムの構築(3)新規オレフィン・アロマ製造技術の開発に力を入れ、鹿島と水島をアジア有数の石化コンプレックスに仕上げていきたい」とした。

 ポリマー事業では(1)鹿島事業所での年産30万トン能力のPPプラントの建設(2)黒崎ならびに中国におけるPCチェーンの強化(3)自動車コンパウンド事業の世界展開の強化(PPコンパウンドの自社展開、米国の軟質コンパウンドの生産体制の増強など)といった強化策を決定して実行に入る段階にある点を披露した。自動車分野だけでも2015年には年4,000億円近い売上げを目指すとしている。

 モノマー事業では、世界トップに伍するプロセス・触媒技術・コストダウン技術を生かしてPTA、ブタンジオール、EG、アクリル酸等の企業をグローバルに展開していくとしており、またRING〓等によってオレフィン・アロマセンターを強化してコンビナートのコストダウンと原料自製能力の増強を図る考えも明らかにした。