2006年06月13日
「中国の知的財産権侵害、日本企業の被害深刻」経産省
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:経済産業省

 経産省は13日、「わが国企業の被害は依然深刻だ」とした、06年版「中国における知的財産権侵害実態調査」結果を発表した。
 
 調査は今年3月から4月にかけて、中国に進出あるいは取引きしている日本企業198社に対してアンケートし、侵害の事例や、中国当局の対応状況などをきいた。回答数は115社(58.1%)だった。主な回答内容は以下の通り。
 
(1)救済手続きの利用
 回答があった115社のうち「知的財産権侵害の事実がない」と回答した企業は28社、残りの87社(75.7%)は侵害を受けていることになる。これら87社のうち行政、刑事または民事による救済手続きを利用した企業は52社(59.8%)だった。

(回答企業と手続き利用の内訳)
◇化学品   :37社(救済手続き利用企業10社)
◇電子・電気 :20社(14社)
◇日用品・雑貨 :11社(7社)
◇自動車・二輪車 :10社(9社)
◇産業機械  :9社(4社)
◇化粧品   :6社(3社)
◇繊維製品  :6社(2社)
◇コンテンツ関係 :5社(2社)
◇医療機器  :5社(0社)
◇その他   :6社(1社)
◇合計    :115社(52社)

(2)救済手続きを利用ない理由
 救済手続きを利用していない企業(化学品関係は回答数28社のうち15社と最多)について、その理由を複数回答で分析すると「被害実態が把握できず手続きが取れない」(20社)、「効果が期待できない」(8社)とする企業が多い。その他「被害が恒常化し、個別案件に対応できない」等をあげた企業も23社あった。
 
(3)調査結果の概要
 ◇中国における知的財産権侵害に対する救済措置として、最も多く利用されているのは「行政手続き」で、05年は利用件数が前年比4割増加した。しかし行政処罰の内容を見ると、相対的に重い処罰が科された事例はわずかしかない。
 
 ◇中国政府当局による知的財産権侵害に対する取り組みは強化されているものの、わが国企業の被害は依然として深刻であり、一層の取締りの強化と刑事訴追基準の見直しを含む法制度の整備が求められている。