2006年06月15日 |
バイエル、ドイツのシェーリング社を買収 |
【カテゴリー】:海外 【関連企業・団体】:バイエル |
バイエルとメルクは14日、メルクがこれまで購入したシェーリング社の株式(21.8%)をバイエルに売却することで合意したと発表した。これにより、バイエルによるシェーリングの買収が決定する。バイエルは自社の医薬部門と統合しBayer-Schering Pharmaceuticalsを設立する予定。 バイエルのTOB期間中にメルクが株式を購入したことで問題が複雑化した。 本年3月12日にメルクがシェーリングに対し1株77ユーロでの買収を提案したが、シェーリング側は価格が著しく低すぎるとして拒否した。 3月23日にバイエルが1株86ユーロでオファーし、シェーリング側も賛成、メルクは価格を引き上げる考えがないとし、買収を諦めたと思われた。 4月13日にバイエルは正式にTOBをかけたが、TOBの期間中にメルクがシェーリング株を購入していることが判明した。このためバイエルはTOBを続けるが、それ以外でも購入することを明らかにし、仮にTOB外の購入価格がTOB価格より高い場合にはTOBでの購入にもこれを適用するとした。 今回の合意は両社首脳の話し合いで決まったもので、メルクは全所有株を1株89ユーロでバイエルに譲渡する。バイエルのTOBに応じた株主は1株3ユーロの値上げを享受することとなった。 メルクはこの取引により4億ユーロの売却益を得た。またバイエルとメルクは今後協力関係を強化できないか検討する。 メルクとしては今回の株式購入はシェーリングとの関係を考えた長期的戦略によるものとしているが、バイエルのTOBを利用してごく短期に膨大な利益をあげることとなった。 ドイツのシェーリング(Schering AG)は米国のSchering-Plough とは別会社。後者は元はシェーリングの子会社であったが、第一次世界大戦で米国政府に接収されて米国企業となった。 |