2006年06月15日
PHのアジア価格が一段と上昇
6月後半のC&F価格が1,350超えに
【カテゴリー】:市況(海外、原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学などPH(フェノール)メーカー筋によると、PHのアジア価格が6月に入っても当初の予想以上のペースで上昇を続けている。

 中国を中心としたアジア地域全域のC&F価格の平均は、6月後半渡し分が最も安いケースでもトン当たり1,350で、一部には1,400ドルも散見される。6月初頭に比べると50〜100ドル高い。5月の平均に対比すると250〜300ドルの値上がりとなる。

 これには、(1)PC(ポリカーボネート)向けにBPA(ビスフェノール-A)の需要が順調に伸びていること(2)サプライヤー各社がプロピレンとC重油の高騰分を製品価格に転嫁すべく積極的に価格修正に動いていること(3)最大の供給メーカーのイネオスの生産プラントが6月に入ってドイツとベルギーで操業トラブルを引き起こし運休したことの3つの上昇加速要因が同時に表面化したことが大きく影響していると見られる。

 今後もアジア地域の需給バランスはタイト気味に推移する見通しにある。需要が好調を維持すると見られているのに加え、6月末から8月はじめにかけて中国の燕山石化の年産15万トン設備、三井化学・大阪の同20万トンプラント、三井化学・シンガポールの同25万トン装置が相次いで定修のため運休に入る予定にあり、しかも欧州からの流入が一段と縮小する見込みにあるためだ。

 こうしたことを背景に、三井化学では、PHとアニリンの国内価格フォーミュラーの付加価値分(スプレッド)の引き上げを7月1日出荷分から実施すべく需要家各社と折衝中。ナフサとC重油の高騰に対処してのもので、PHではキログラム14〜18円、アニリンでは同19〜23円それぞれ引き上げる考えだ。