2006年06月16日
東レ 世界初・炭素繊維複合材料の量産技術を確立
プラスチック、金属に匹敵する量産性を実現
【カテゴリー】:経営(新製品/新技術)
【関連企業・団体】:東レ

 東レは16日、炭素繊維複合材料(CFRP)を用いて、複雑形状の工業製品が大量に生産できる新しい量産技術の開発に世界で初めて成功したと発表した。
 
 CFRPの材料設計から生産方法までを抜本的に見直すことで、プラスチックや金属など他の工業材料に匹敵する設計自由度と量産性を実現した。
 
 ノートパソコンや携帯電話などの筐体をはじめ、自動車部品、医療用機器、ロボット部材などの大量生産品向けに幅広く展開可能となる。 05年度高分子学会賞を受賞。
 
 同技術は、CFRPの材料設計と、材料加工(成形・組立)技術の両面で技術革新を図り、新規量産技術を融合して実現した。
 
(1)材料設計技術の革新
 従来のCFRPは、一体ものとして設計/成形/生産されてきたため、複雑形状の成形品を大量生産することはできなかった。今回、成形品を形状や機能ごとの部品単位で分割設計し、強度・剛性が要求される主要部分にCFRPを適用し、これに異なる形状・機能の部品を一体化させる、全く新しい設計コンセプトを開発した。 これによりマグネシウム合金を上回る軽量・薄型設計のCFRP製筐体の大量生産に成功した。
 
(2)材料加工(成形・組立)技術の革新
◇成形技術として、一方向プリプレグを積層した後、短時間で所定の形状にプレスできる超高速プレス成形技術を開発した。

金属プレスなどのプレス成形法をCFRP向けに応用し、従来比10倍以上の速さで固まる新開発の超高速硬化エポキシ樹脂を組み合わせた。これにより、材料の配置から脱型までの成形時間を3分以内に大幅短縮することに成功した。専用プリプレグは厚み1ミリ以下で、最適な積層構成を設計追求することで、製品の薄型軽量化と高剛性の両立が可能になる。

◇組立技術として、CFRPとプラスチックなど異素材を熱溶着で接合する「CFRPハイブリッド技術」の開発に成功し、製品組立の時間短縮と効率化を実現した。射出成形機にCFRPを配置し、熱可塑性樹脂をインサート成形する新規接合技術により、ノートパソコン筐体を1分以内で組み立てることに成功した。

  CFRPは「軽くて強い」特性から、スポーツ用途をはじめ、航空宇宙、一般産業の各分野で本格的な需要拡大期を迎えている。同社は今回、CFRPの新規量産技術を確立したことで、製品市場の開拓に弾みをつける。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1150450944.pdf