2006年06月19日
タカラバイオ、中国・疾病予防管理センターとエイズ治療法共同研究
【カテゴリー】:新製品/新技術(海外、ファインケミカル)
【関連企業・団体】:タカラバイオ

 タカラバイオ(加藤郁之進社長)は19日、中国疾病予防管理センター 国立エイズ性病予防管理センター ウイルス免疫学研究部門長であるシャオ・イーミン教授らのグループと、同社が開発したRNA干渉酵素を用いたエイズ遺伝子治療法のサルでの試験を目指した共同研究を行うことに同日付けで合意したと発表した。

 エイズは1981年に存在が知られてから25年になり、世界で2500万人以上の死者が数えられている。全世界ではすでに4000万人がエイズウイルス(HIV)に感染しており、アジアでは中国を含め約800万の感染者がいると推測されている。
 
 こうした中、2001年に米国国立衛生研究所(NIH)は、「国際エイズ研究総合プログラム」(CIPRA)を立ち上げ、発展途上国を中心にした優れた研究グループに研究グラントを与えてきた。中国の研究グループは、この研究グラントを獲得している。

 タカラバイオは、RNA干渉酵素を用いてエイズウイルス(HIV-1)のRNAを破壊するという遺伝子治療法が、このシステムにより「ヒト細胞レベル」で、HIV-1を消滅するという研究成果を本年5月15日に発表した。

 HIV-1が特異的に発現するTatタンパク質によってRNA干渉酵素(MazF)が発現されるように構築したレトロウイルスベクターを用いて、MazF遺伝子を導入したヒトT細胞由来のCEM細胞に、いろいろなドースでHIV-1を感染させると、約2〜3週間後にHIV-1がほぼ完全に消滅するという実験結果を得た。つまり、感染したHIV-1自身が自分を消滅させるMazFという引き金を引いてしまうというユニークな遺伝子治療法だ。

 そこで、まずサルのT細胞を用いて、ヒトで行ったのと同様の細胞実験をサルのSIVを用いて行い、その有効性を確認した後、RNA干渉酵素を用いたエイズ遺伝子治療の、サル生体における有効性の確認を行う計画という。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1150697928.doc