2006年06月19日
ANのスポット相場が各地で上昇
欧米のAN企業の操短で需給が逼迫
【カテゴリー】:市況(海外、原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:なし

 AN(アクリロニトリル)のスポット価格が世界各地で相次いで上昇してきた。欧米のANメーカーの間で操業短縮に踏み切るところが相次ぎ、それに伴い世界全体の需給バランスが急速に引き締まってきたことが大きく作用していると見られる。もっとも、わが国のANメーカーは、原料のプロピレンとアンモニアの価格も高騰しているので採算性は依然として改善されないままの状態にあるとしている。

 ANの直近の各地におけるスポット価格は、欧州がトン当たり(以下同)1,620〜1,630ドル、米国が1,550ドル、アジアが1,570ドルとなっている。一ヵ月前に比べると100ドル以上も高くなっている。
 これには、プロピレンやアンモニアの高騰分を製品価格に転嫁すべくAN各社が値上げに必死で取り組んできたこともさることながら、欧米のANメーカーの間で自らの設備の操業トラブルや原料プロピレンの供給者であるエチレンセンターの操短等によって減産を余儀なくされるところが相次ぎ、世界全体の市場に需給逼迫感が急速に広まってきたことが大きく影響していると見られる。

 需要はABS樹脂を中心に着実に拡大しており、このためこの一ヵ月はANメーカー側の希望がほぼ全面的に受け入れられてきている。今後も需給に緩みが生じる可能性はほとんどない見通しなので、原料プロピレンが反落しないかぎりスポット相場は引き続き強含みで推移する公算が濃厚となっている。