2001年08月20日
TLO育成に重点、経済産業省、文部科学省が予算化
“大学発特許”の企業化推進
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:経済産業省、文部科学省、NEDO

 科学技術創造立国の実現をめざし数多くの化学技術振興施策が講じられているなかでTLO(技術移転機関)の活動への期待が高まっている。産官学連携による新製品、新ビジネスの成功のカギは大学の研究成果を特許化するだけでなく、公的資金や人材導入も重要である。この点、経済産業省が文部科学省と協力して来年度から取り組もうとしている“産学連携実用化推進事業”は資金と経営知識・技術面からTLOを支援しようとするもので、早期の具体化がのぞまれている。(2テーマで概算要求5億円)

 TLOは1998年施行の「大学等技術移転促進法」にもとづき新設され、すでに21か所がスタート。61か所ある産業協同研究センターとともに、技術の特許の取得とベンチャー企業の育成をめざしている。

 TLOは並列スーパーコンピューターを開発したビジュアルテクノロジー社を生んだ東北大学TLO、東京大学の先端科学技術インキュベーションセンターなどが大学発ベンチャーに特許をライセンスしている。国立、公立、私立を問わず今後、TLOがふえるのは間違いない。

 わが国では企業が大学を人材供給源としてとらえ、大学全体を研究の相手とはみていない。しかし、創造的な新しいアイディアが求められる現在、大学産のアイディア—特許が豊富であるほど、経済社会が活性化するわけで、TLOの活躍がまたれる。

 経産省はこの資金援助をマッチングファンドと名づけ、会社設立や事業化に必要な資金をNEDOを通じて支給する予定。大学の独創的な研究成果を早急に実用化するのがねらいだ。対象となるテーマはナノテクノロジーや材料開発、バイオ、エネルギー、環境、ITなどの分野。

 また、経営知識・技術のパッケージ支援は新た事業を興そうとしている大学や企業の研究者に対し、ベンチャー企業を設立して事業が軌道にのるまでの経営指導を行う専門家、インキュベーションマネジャーを養成(毎年20人以上)し、TLOや産学協同研究センターに派遣する計画。

 目標としては大学発ベンチャーの企業数を今後3年間で現行比8倍の1,000社にふやし大学の特許取得数も10年後に同15倍の1,500社とする方針。