2006年07月04日
三菱化学、新規高容量負極材を開発
高容量リチウム二次電池向けに製造・販売開始
【カテゴリー】:新製品/新技術(ファインケミカル)
【関連企業・団体】:三菱化学

 三菱化学は、急成長を続けている高容量リチウム二次電池向けに新規の高容量負極材「ICGシリーズ」を開発して本格的な製造・販売活動を開始したと4日発表した。

 炭素製品の大手製造メーカーの東海カーボンに前処理工程の作業を委ね、そして同社自身が坂出工場で最終製品に仕上げて出荷している。設備能力や具体的な販売計画は明らかにしていないが、既存の品種によって確保している10%強の負極材の販売シェアをできるだけ早く20%台に引き上げたいとしている。また、年内には現在の生産能力を2倍に、そして07年中には3倍に拡大する考えだという。

 これまでは、電池の高容量化には負極材である黒鉛を塗布した極板をプレスしてより高い密度を持たせるようにすることが必要とされてきた。しかしその場合、不可逆容量が増加するなり出力特性やサイクル特性が低下するといった問題が生じるため、そうした悩みにつきまとわれないタイプの新規高容量負極材の開発が関係企業に共通の重要課題となっていた。

 こうした中で、三菱化学は長年培ってきた黒鉛改質技術と表面修飾技術を融合することによって従来の課題をクリア、極板密度が1CC当たり1.8グラム以上でも電池の持つ様々な特性を低下させることなく高容量化を実現できる負極材の開発に成功したもの。「ICGシリーズ」の負極密度は1.7〜1.9グラムと高く、高エネルギー密度が達成可能となった。

 これによって同社は、高容量リチウム二次電池材料のニーズの多様化と高度化によりフレキシブルに対応していける体制を整えたことになる。こうした負極材にとどまらず正極材、電解液、セパレータの各分野でも新技術・新製品を相次いで開発して電池材料ビジネス全体の拡充を図っていく考えだ。


ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1151990366.doc