2001年08月17日 |
日亜化学に特許開放の動き、LED市場に“変革”必至 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:豊田合成、日亜化学 |
低消費電力で明るい光を放つ青色LED(発光ダイオード)市場が活気づいている。青色LEDは徳島県阿南市に本社工場を持つ日亜化学工業(小川英治社長)が窒化ガリウムを使って工業化に成功、世界的な発明として内外の注目を集めてきたが、特許の“門外不出”をきめ込んで全くライセンスしていないこともあって国際特許をめぐる訴訟合戦にまでしている。その日亜が、ここへきて、特許権の譲渡を考慮しはじめているとのうわさが流れ、ライバルメーカーから注目されている。 日亜の特許ライセンス供与で、まず話題になったのが東京・中野の高立(植田典則社長)。LEDの寿命が半永久的で、消費電力が通常の白熱灯の10分の1ていどと省エネ型の白色電球を日亜のLEDを使いこのほど生産に入った。 これに続いて東京の電光メーカーが日亜に接近しているといわれる。 LEDは携帯電話のほか、大画面表示装置や信号機などに年間数百億円の市場を持ち、わが国では豊田合成が日亜と特許係争を交えつつ携帯電話の表示板などを生産している。その基本技術は次世代DVD(デジタルビデオディスク)の大容量化に役立つ青色半導体レーザーにも使われる見通しとなっている。 青色LEDの基板となる窒化ガリウム膜の基板となる技術では米国のクリー社とノースカロライナ州立大学が特許侵害で日亜を昨年9月、地裁に提訴しているが日亜側は逆提訴し、対立を深めている。 こうした混沌とした特許係争のなかで日亜が“特許開放”に向うとすれば、今度は市場で各社の製品がぶつかりあうわけで、市場の拡大とともに関係者の動きが注目される。 |