2006年07月27日
カネカ、世界初「ポリアクリレート系液状樹脂」工業化に成功
建築用、自動車用分野などへ新たな展開
【カテゴリー】:経営(新製品/新技術)
【関連企業・団体】:カネカ

 カネカは27日、耐熱性、耐候性、耐油性などに優れた、ポリアクリレート系反応硬化型テレケリック(両末端反応型ポリアクリレート)液状樹脂の工業化に、世界で初めて成功したと発表した。

 鹿島工場には月産数10トン規模のパイロットプラントがあり、サンプル生産を行っている。
 すでに高耐候性建築用シーラント、電気・電子用部材、自動車向け耐油性ガスケット、接着・粘着剤用途などへの展開を開始しており、一部のユーザーの採用も決定している。数年以内に本格事業化したいとしている。

 今回工業化に成功した液状樹脂は、従来のアクリル、シリコーン、ウレタン、エポキシ系反応硬化型液状樹脂などと比較して、
(1)高い耐熱性、耐油性、耐薬品性を有し、良好なゴム弾性を発現する。
(2)硬化収縮が非常に小さく寸法安定性に優れている。
(3)電気接点障害や周辺汚染を引き起こすといわれる、シロキサン成分を含有していない。
(4)分子量分布が非常に狭いため、高分子量ながら低粘度である。
などの特長を有しており、シーラント・接着剤・コーティング材・ポッティング材等のベースポリマーとして、金属、プラスチック、ガラスとの良好な接着性を活かし、建築用、工業用、自動車用など幅広い分野での展開が期待される。

 ポリアクリレート系反応硬化型テレケリック液状樹脂の工業化はこれまでも試みられてきたが、従来法では、分子鎖の両末端に精度よく官能基を導入することは困難だった。また、粘度や硬化後の機械物性に大きな影響を与える分子量及び分子量分布の精密制御も難しかった。

 カネカは、カーネギーメロン大学から基本技術のライセンス供与を受け、原子移動ラジカル重合法を応用して、同樹脂の工業化に成功した。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1153985547.doc