2006年08月02日 |
フェノールのアジアの需給が急逼迫へ |
韓国、台湾、中国で運休と操短が相次ぐ |
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(海外) 【関連企業・団体】:なし |
アジア地域におけるフェノールの8〜9月の需給バランスが急逼迫する公算が極めて濃厚となってきた。イタリア、韓国、中国でフェノールプラントのメカニカルトラブルが相次ぎ、さらには台湾や韓国で原料プロピレン不足によって減産を余儀なくされるところも続出する見通しとなってきたためだ。 ここにきて運休が明確になってきたフェノールプラントは、最近のアジアの需要家にとって貴重な供給ソースとなっている伊・ポリメリの年産20万トン設備、韓国Kumhoの同12万5,000トン装置、中国の高橋石化の同7万5,000トンプラントの計3基。 ポリメリの運休は定修後の立ち上げに失敗してのもので、8月中旬まで運休期間が延長となる見通し。しかも同社は9月に別の同30万トン設備が定修入りするので、トータルの供給削減期間はこれまでになく長期化する見込みだ。Kumhoの運休はメカニカルトラブルによるもので、運休期間は7月31日から20日間となる模様。高橋石化の運休はキュメンプラントのトラブルが主因で、8月8日から10日間の停止となる見通し。 これらに加えてアジアの需給に少なからず影響を及ぼしそうなのは、原料プロピレンの不足と高騰によって減産に踏み切る構えのフェノールメーカーがいくつか出てくる見込みにある点だ。台湾の長春石化はCPC(中国石油)のエチレンプラントの定修が始まる8月4日からしばらくの間、同12万トン設備の稼働率を10〜15%引き下げる構えにある。また韓国のLGPCも原料不足と高騰に対処して同18万トン設備の稼動調整を計画中と伝えられる。 一方、欧米でもフェノールプラントの定修が相次いでおり、このためアジア地域に余剰玉を振り向けるところは皆無と見られている。対する需要は、8月中旬以降が例年のクリスマス需要期となるため中国市場を中心に回復に向かう見通しにある。したがって、今後は市況も再び強含みに転じる可能性が強い。 |