2006年08月10日
宇部興産、ガス分離膜生産設備を倍増
バイオエタノール脱水用途拡大に対応
【カテゴリー】:経営(新製品/新技術)
【関連企業・団体】:宇部興産

 宇部興産は10日、窒素分離膜やアルコール脱水膜の需要増に対応するため、宇部ケミカル工場内で「ガス分離膜用ポリイミド中空糸」の設備増強を決めたと発表した。中空糸の生産設備は現有50万キロから100万キロメートルに倍増する。完成は2007年10月の予定。

 これに伴いガス分離膜モジュール製造設備を一部堺工場へ移設し、2工場体制でモジュールを生産する。設備能力も年産2万本から4万本に倍増する。総投資額は10億円弱の見込み。

 同社はガス分離膜事業に20年の実績があるが、従来は石油精製や化学工業向け水素回収用の水素分離膜モジュールが中心だった。しかしその後は、タイヤ充填用などに窒素分離膜モジュールの用途が拡がり、化学プラントや石油・石炭の防爆用途にも需要が増えている。
 
 また、同社は世界で唯一、有機膜でアルコールを脱水する特殊技術を確立しており、この技術によって生産しているアルコール脱水膜が、ガソリン添加用バイオエタノールの需要急増により、欧米を中心とした大型エタノール精製プラントに導入されつつある。これに対応するために、アルコール脱水膜の生産能力の拡大が急務だった。

 宇部興産では、従来からの水素分離膜、除湿膜、酸素富化膜に加え、窒素分離膜とアルコール脱水膜を中心に事業の拡大を進めていくが、今後はバイオガス、ランドフィルガスのメタン濃縮、二酸化炭素回収、高純度水素分離など、環境問題の解決に寄与する分離膜事業も幅広く展開していく方針だという。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1155185341.pdf