2006年10月03日
経産省調査、原油高の影響「繊維業界により深刻」
【カテゴリー】:行政/団体(経営)
【関連企業・団体】:経済産業省

 経産省は3日、今年4月に続いて通算8回目となる「原油価格上昇のわが国産業への影響に関する調査結果」を発表した。足下の原油価格は一時期より下落しているものの、依然として高水準で推移しているとしてフォローアップした。
 
 調査期間は9月4日〜9月28日。ドバイ原油の価格レンジは、1バレル当たり55.75ドル〜66.40ドル、WTIは1バレル60.46ドル〜69.19ドルだった。
 
 調査は原油・石油製品の投入比率の大きい化学、板ガラス、繊維及び紙・パルプの4業種と、投入比率が小さい鉄鋼、自動車など5業種、計9業種の大企業57社を対象に、ヒアリングなどによって実施した。
 
 主に(1)原油・石油製品価格上昇の経営・収益への影響(2)価格上昇の影響への対応、の2点をきいた。
 
 この結果、「経営・収益に与える影響は、総じて見れば、大きくは深刻化していないが、価格転嫁が困難になる中、繊維業など一部の業種では影響が若干拡大している」などが明らかになった。
 
 業種別回答内容のうち、化学と繊維両業種の回答は次の通り。

【化学】
 ・価格転嫁は、前回調査と比較すると、若干困難になってきている。「困難」と回答した企業は約1割から約2割に増加した。今後は、市場における競争の激しさ、販売先との交渉困難などから、約9割が「やや困難」と回答している。
 
 ・収益への影響は、前回調査と比較すると、影響に若干広がりが見られ「大きく圧迫」または「やや圧迫」と回答した企業が約8割から約9割に増加した。
 
 ・経営への影響も、前回と比較すると、影響に若干広がりが見られる。「一定の影響」と回答した企業は約8割から約9割に増加した。
 
 ・06年度の通期業績見通しで、約1割の企業が経常利益見込みを上方修正したが、下方修正した企業はない。
 
【繊維】
 ・価格転嫁には、企業によりばらつきが見られる。前回調査と比較すると「困難」と回答した企業は約3割から約2割に減少する一方、「ある程度できている」とした企業は約3割から約1割に減少し「やや困難」は約5割から約6割に増加した。今後については、競争の激しさなどを理由に全ての企業が「困難」または「やや困難」と回答。
 
 ・収益への影響は、前回に比べて影響に広がりが見られる。「大きく圧迫」と回答した企業は約4割から約7割に増えた。「大きく圧迫」または「やや圧迫」と回答した企業は約9割から10割に増加した。
 
 ・経営への影響にも広がりが見られ、「深刻な影響」と回答した企業は前回の約3割から5割に増加した。
 
 ・06年度通期業績見通しで、経常利益見込みを下方修正した企業が約3割あり、原油・石油製品の価格上昇がその一要因とする企業も見受けられる。