2006年10月17日
スチレン工業会、PSの中期需要展望をまとむ
国産品の08年の総需要量、05年の1%増どまりと予想
【カテゴリー】:実績/統計(行政/団体、原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:日本スチレン工業会

 日本スチレン工業会は17日、同工業会がこのほど取りまとめたPS(ポリスチレン)の日本ならびにアジア地域における中期需要展望の概要を明らかにした。

 それによると、国産品の日本における08年までの3ヵ年の総需要見通し(国内需要量プラス輸出量)は、06年が前年比100%の89万3,000トン、07年も同100%の89万7,000トン、08年が同101%の90万2,000トンとなっている。05年の実績の89万4,000トンが3年間でわずか8,000トン(1%)増えるにとどまるとの極めて慎重な見方となっている。

 国内向けについては、06年が同101%の87万1,000トン、07年が同100%の87万2,000トン、08年が同101%の87万7,000トンと予想している。この場合も、05年の実績の86万5,000トンが3年間で1万2,000トン(1%)増えるだけという厳しい見方となっている。

 需要部門別の見通しは、電機・工業用こそ06年に3%、07年と08年に2%それぞれ増えるものの、雑貨・産業用は各年とも1%増にとどまり、包装用はほぼ横ばいで推移、そしてFS用にいたっては毎年縮小するとの予想になっている。

 FS用がマイナス成長を続けると予想している点について近藤健・同工業会会長(PSジャパン社長)は「市場の強い要請で製品の薄肉化がさらに進む見通しにあるため」と説明している。反面、電機・工業用については「TV向けを中心に新市場・新用途の開拓が可能で、しかもユーザーの海外移転が一段落してきたことも加わって着実に伸びていくと判断している」と期待を寄せている。

 輸出は、06年が2万2,000トン(前年比74%)、07年と08年がともに2万5,000トンと予想されている。絶対量が小さいので出荷全体に及ぼす影響はほとんどないといえる。

 また輸入については、06年が3万4,000トン(同142%)、07年が40万トン(同118%)、08年が4万5,000トン(同113%)と年々増加すると予想されている。この点について同会長は「中国の自給化の進展もあって、需給バランスの悪化に直面する韓国や台湾などが対日輸出に拍車をかけてくる可能性が高いため」と解説する。もっとも「韓国や台湾が今後の日本の市場に大きな魅力を感じるとは思えないので、絶対量はさほど大きくはならない」とも指摘する。

 一方のアジア全体のPSの中期需要見通しは、06年が前年比101%の472万9,000トン(設備能力は666万7,000トン)、07年が同103%の485万1,000トン(同712万8,000トン)、08年が同103%の499万2,000トン(同745万3,000トン)となっている。中国の需要の回復によって07年以降は再び着実な伸びを遂げるとの判断である。

 同工業会がまとめた日本のPSの中期需要見通しの内容は別表の通り。単位は1,000トン。

【関連ファイル】
日本のPSの中期需要展望
http://www.chem-t.com/news/files/tmp_file1_1161087701.xls

【関連ファイル】
日本のPSの中期需要展望
https://www.chem-t.com/news/files/tmp_file1_1161087701.xls