2006年10月30日
東レ、高機能樹脂PPS、LCPの生産設備を増強
【カテゴリー】:経営(新製品/新技術)
【関連企業・団体】:東レ

 東レは30日、高機能樹脂のPPS(ポリフェニレンサルファイド)「トレリナ」と、 LCP(液晶ポリマー)「シベラス」の生産設備増強を決め、建設に着手したと発表した。
 
 電気・電子機器や自動車用途など高機能樹脂の需要拡大に対応するもので、東海工場(愛知県東海市)に年産2,500トンのPPS樹脂重合設備、愛媛工場(愛媛県松前町)に同1,000トンのLCP樹脂重合設備をそれぞれ増設する。
 
 総投資額は約40億円で、2007年12月の稼働開始を目指す。これによりPPS樹脂の生産能力は年産11,500トン、LCP樹脂は倍増して同2,000トンとなる。
  
 PPS樹脂の増強は、同社にとっては5,000トン増強計画の第一ステップとなるもので、引き続き2009年までに追加増設する。
 
 PPS樹脂は、耐熱性や耐薬品性、機械的強度、難燃性等に優れたスーパーエンプラで、 電気・電子機器やOA機器、自動車の電装部品等に使用されている。世界需要はニートレジン換算約4万トン(06年)と推定され、今後も年7%以上の高い成長が見込まれている。
 
 同社は今後、独自のポリマーアロイ技術を活かして、ハイブリッドカーなどの自動車材料やエレクトロニクス関連等の成長分野で新規用途を開拓し、同樹脂事業の拡大を図る。
 
 一方、LCP樹脂は、耐熱性や薄肉流動性に優れているのが特徴で、携帯機器の高性能化に伴う電子部品の小型精密化の進展により需要が急拡大している。
 
 世界需要はニートレジン換算約2万トン(06年)と推定され、今後も、好調なIT関連需要等に牽引されて、年10%以上の高成長が見込まれている。
 
 同社のLCP樹脂「シベラス」は、良流動性と低ソリ性を有する液晶ポリマーで、ファインピッチコネクターを中心に採用が広がっている。今春からは、LCPの弱点であるウエルド強度を大幅改善した「LXシリーズ」の本格販売を開始し、従来品では実現できなかった自動車用コネクターやモーター絶縁体など、構造部材の新規用途開拓に力を入れている。


ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1162190954.pdf