2006年11月01日
出光興産、千葉でSPS樹脂 年産5000トン設備が再開
【カテゴリー】:経営(新製品/新技術)
【関連企業・団体】:出光興産
製品例

 出光興産は1日、千葉工場で耐熱性エンプラであるシンジオタクチックポリスチレン(SPS)樹脂の本格生産を再開したと発表した。

 すでに世界四極でのコンパウンド供給体制を確立しているため、これでSPS製品(商標:ザレック)のニートレジン生産から販売までのグローバル供給体制が整った。また、好調な需要の伸びを受け、設備増強の検討にも着手した。

 SPS樹脂は1985年、同社が世界に先駆けて開発。メタロセン触媒を用いて、ポリスチレンをシンジオタクチック構造にすることで、耐熱性の高いエンジニアリングプラスチックスとしての特性を付与する。1997年に千葉工場内に年産5000トンの商業プラントを完成し供給を開始した。

 その後、米国ダウケミカルに基本技術をライセンスし、共同で技術開発・市場開拓を進めてきた。1999年にはダウが欧州にSPS製造プラントを建設し、共同生産することにしたため、千葉工場のプラントは2000年に計画休止した。

 しかしダウが事業撤退したため、出光興産では千葉装置の再稼動準備に入るとともに、本年1月に北米、5月に欧州で、コンパンド製造と販売体制を整え、国内とアジアを合せて世界四極での製造・販売体制を確立した。

 SPSは、耐熱性、電気特性、耐薬品性、耐スチーム性、軽量性などに特長があり、同社では、鉛フリーハンダ対応のコネクタなどの自動車電装部品、IH炊飯器・洗濯乾燥機・スチームオーブンレンジなど加熱部のある家電部品、アンテナなどの電子部品に用途を拡大している。

 今後は、全世界で自動車部品や電気電子部品などの新規用途の開拓に注力し、SPSをグローバル商品として育成していく。

< SPS装置の概要 >
 ・製造拠点    出光興産 千葉工場内
 ・生産能力    5000トン/年(ニートレジン)
 ・生産開始    2006年10月

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1162354709.pdf