2006年11月08日
昭電・産総研・電中研、半導体SiCエピタキシャルウェハーの販売開始
【カテゴリー】:経営(新製品/新技術)
【関連企業・団体】:昭和電工

 独立行政法人 産業技術総合研究所(吉川 弘之理事長)の技術移転ベンチャーである有限責任事業組合エシキャット・ジャパン(茨城県つくば市、渡辺 純一代表)は8日、低損失パワーデバイス用半導体材料として期待されている、SiC(シリコン・カーバイド)エピタキシャルウェハーの販売を今月から開始したと発表した。生産設備は昭和電工・秩父工場に設置。2010年からの本格事業化を目ざす。

 今回販売を開始したのは、単結晶SiC薄膜で世界最高水準の均一性と結晶性を実現した高品質の「エピタキシャルウェハー」で、Si(シリコン)面を用いた2インチと3インチサイズの2種類。同時に、C(カーボン)面基板を用いたエピタキシャルウェハーについても、顧客の要望があればサンプル供給する。

 SiCエピタキシャルウェハーを用いた半導体は、現在主流のSi半導体をしのぐ性能を持ち、電力・自動車・鉄道・家電などさまざまな分野に利用されている電力変換用スイッチングデバイスや、通信用の高性能・大電力高周波デバイスなどのパワーデバイスへの応用が期待されている。
 
 これまでは高品質のSiCエピタキシャルウェハーを安定的に供給できるメーカーが国内にないため、SiCの特性を活かすデバイス開発や産業育成の阻害要因となっていた。

 エシキャットは、産業技術総合研究所と電力中央研究所、昭和電工の3者がそれぞれの技術及び共同研究成果を活かして、パワーデバイス用SiCエピタキシャルウェハーを量産・販売する目的で05年9月に設立した有限責任事業組合。
 
 なお、エシキャットは11月9日と10日の両日、高崎シティギャラリー(群馬県高崎市)で、応用物理学会が主催する「SiC及び関連ワイドバンドギャップ半導体研究会」講演会の併設企業展示会に出展する。

【「エシキャット」の概要】
 ◇組織名 :有限責任事業組合エシキャット・ジャパン(ESICAT Japan, LLP)
 ◇設立 :2005年9月20日
 ◇代表 CEO :渡辺 純一
 ◇事業概要 :高品質SiCエピタキシャルウェハーの研究開発および製造・販売

(注)有限責任事業組合(Limited Liability Partnership : LLP)とは :有限責任事業組合契約に関する法律(平成17年法律第40号)に基づき設立される組合。米国の LLP (Limited Liability Partnership) に類似の制度であるため、「日本型LLP」と呼ばれる。組合債務に対する組合員の責任が出資額を限度とする有限責任であること、法人税の課税対象とならないことなどが特徴。法人格は認められない。
 
ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1162954296.doc

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http://www.chem-t.com/cgi-bin/passFile.php?NCODE=16954