2006年11月13日
三井化学の機能性材料事業が順調に拡大
藤吉社長、育成・強化に一層注力すると強調
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学の藤吉建二社長は13日に定例の記者会見を開き、同社の経営概況を説明した。この中で同社長は、かねてから育成に力を入れている機能性材料事業の拡大に加速がついてきた点を特に強調、今後も同事業の充実強化に引き続き積極的に投融資していく考えを示した。 

 同材料分野の06年度の営業利益は05年度の209億円から290億円に拡大し、また全社の営業利益のうち同部門の占める比率は前年度の36%から39%にアップする見通しという。同社の中期経営計画「04中計」では07年度の同部門の営業利益を500億円に、また全社の営業利益に占める比率を50%にそれぞれ引き上げることにしている。かなり高い目標だが、同社長は、最近の農薬事業の拡充やウレタン原料・TDIの順調な伸びから判断して十分実現できるとの見方を示した。
 
 機能性材料分野の拡大の現状と今後の展開に関する藤吉社長の発言概要は以下の通り。
○今年上期における機能性材料分野の営業利益は120億円で前年同期の31億円を大きく上回った。直近の3年で最高の利益となっている。これは、(1)エラストマー、特殊ポリオレフィン、ポリマーシステム等の機能性ポリマーズ部門の売上げを04年度比で500億円増やすこと(2)情報・電子材料、ヘルスケア材料などの機能性ポリマー製品群の売上げを同300億円増やすこと(3)電子材料、情報材料、精密化学品、工業樹脂等の重点プロジェクトで100億円の増益を果たすこと(4)新規機能性ポリマー、高機能エラストマー、高機能フィルム等の戦略研究開発プロジェクトに約100億円を投資すること--といったかねての目標が順調にクリアされつつあるためと言ってよい。

○06年から10年の間に特に販売数量の大きな拡大・成長が期待される製品をいくつか挙げると(1)EPT・ミラストマーの60%増(2)TPXの70%増などがあり、また07年から08年にかけて大幅な伸びを計画しているものとしては(1)半導体製造等プロセスガス(NF3)の07年度25%増、08年度20%増(2)PDPフィルターの07年度40%増、08年度30%増などが挙げられる。また、今年度の売上げが前年度の3倍になる見通しのメタロセン触媒による成形助剤の「EXCEREX」の今後にも一層期待している。

○機能性材料分野の今後の拡大には投融資や研究開発費の重点的な配分が不可欠だ。投融資としては04〜07年で1,720億円を、また研究開発費としては同じく4年で890億円を投入していく考えだ。

○こうした積極拡大策の展開で、かねての狙い通り、07年度には機能性材料分野で全体の5割に相当する500億円の営業利益を確保するように持っていきたい。