2006年11月17日
電気化学、クロロプレン1系列増設具体化へ
原料コスト有利、年産10万トン体制構築めざす
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:電気化学工業

 電気化学工業は、クロロプレンゴムの需要が堅調な伸びを続けているため、青海工場のカーバイド法設備を段階的に増強し、最終的には世界トップとなる年産10万トン体制を構築する方針を固めた。
 
 同社は今年10月の定修時に年産6万トンのクロロプレン設備を6万6,000トンに手直し増強したのに続いて、07年10月には7万トンにスケールアップすることにしている。
 
 しかし原油価格の高止まりが続く中、競合各社が採用しているブタジエン法に比べて、同社のカーバイド法は、原料コスト面で相対的に有利と判断されることから、さらに1系列増やして年産7万トンから10万トンに拡大する方向で検討中だという。
 
 クロロプレンゴムは、諸特性間のバランスがよく、ベルトやホース、ライジング、電線被覆などの自動車関連分野のほか、一般工業用分野でも幅広く使用され、特殊合成ゴムの中では最も汎用性に富んでいる。このため中国市場を中心に需要は着実に伸びている。
 
 世界の供給能力は、年間24ー25万トンで、電化を除く各社はいずれもブタジエン法と見られているが、最近は採算面からイタリアのポリメリ社が事業撤退したほか、トップメーカーの米国デュポンが2系列合計年産10万トンの設備を1系列に縮小するなど、能力的にはむしろ減少の傾向にあるという。
 
 ただ電化の場合、カーバイド法といっても、クロロプレンを製造するまでには石灰石からアセチレンを製造するための電炉や設備など長い製造工程が必要となる。
 
 「技術的には競争力は十分あると思うが、よく見極める必要がある。増設のタイミングや規模などの具体的なことは来年末までには決めたい」と同社の川端世輝社長は語っている。