2006年11月20日
JPPがメタロセンPPでフィルムの新市場開拓も開始
空冷インフレ法に対する適合性をフルに活用
【カテゴリー】:経営(原料/樹脂/化成品、新製品/新技術)
【関連企業・団体】:日本ポリプロ

 日本ポリプロは、同社が独自に開発したメタロセン触媒によるPP(ポリプロピレン)「ウインテック」の持つ強みを活かしてこのほど高透明・高光沢インフレーションフィルム品種の生産と市場開拓に乗り出した。これは、「ウィンテック」が持つ特徴の一つである空冷インフレーション法への適合性をフルに活用することによって、従来のPPでは拡大が困難とされてきた高透明・高光沢性インフレーションフィルム分野に強力な市場基盤を構築しようというもの。関係者の中には、狙い通りいけばPPの歴史に新たな1ページが書き加えられると見る向きもある。

 PPのインフレーションフィルムは、透明性が高くまた光沢性も優れている点が大きな特徴。しかしその製法が生産性の低い水冷インフレーション法にほぼ限定されることからコストが高く、このため需要は長期にわたって伸び悩み状態が続いている。
 
 こうした中で日本ポリプロでは、かねてから同社が企業化しているメタロセンPP「ウィンテック」のうちのランダムコポリマーがポリエチレンフィルム分野で圧倒的多数を占める空冷インフレーション装置に容易に適合して水冷インフレーション方式による製品と同等の高透明性と高光沢性を持つフィルムを容易に製造できる性質も持っている点に注目、専用グレードの本格生産と市場開拓を開始したもの。国内のPPメーカーによる同品種の製造・販売は今回の日本ポリプロが初めて。
 
 同社によると、「ウィンテック」のランダムコポリマーは融点が148℃と低いため比較的低温での製膜とヒートシールが可能なうえ、透明度や光沢に優れた高強度フィルムや射出成形品を様々な手法で容易に製造できる点が大きな特徴という。また、低分子量・低結晶性成分が少ないため臭いやベタつきがないこと、剛性・耐熱性に優れている点も強みの一つに挙げられるとしている。
 
 これまで同社ではこうした特徴を活かしてCP(PP無延伸フィルム)やIT部品向け容器向けを中心に拡販を進めてきたが、今後はインフレーションフィルム分野にも同社特有の市場を構築していく考え。ついては、より高度な剛性や腰の強さを求める需要家に対しては、姉妹会社の日本ポリエチレンが手掛けているメタロセンL-LDPEとの相溶性の良さを活かした複合フィルムの企業化を推奨していくことにもしている。
 現在の「ウィンテック」の年間販売量は約1万トンだが、210年には5万トンに引き上げる考え。