2006年11月28日
旭化成ケミ、来週半ばにSM装置の稼動を再開
アジアの需給は引き続きタイトの見通し
【カテゴリー】:経営(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:旭化成ケミカルズ

 旭化成ケミカルズはかねて水島工場内で年産39万トン能力のSM(スチレンモノマー)プラントを運休中だが、来週半ばには再稼動できる見通しとなった。

 同プラントが運休したのは10月中旬。毎年の定修のための運休で、当初同社では約1ヶ月で定修を終了して11月中旬以降は再びフル稼動に入る予定であった。しかし立ち上げ直後にメカニカルトラブルが発生、このため再稼動が大幅に遅れて現在にいたっている。

 わが国では同社のほか、出光興産、千葉スチレンモンマー、太陽石油化学の3社も9月から11月にかけてSMプラントの定修を実施しており、このため9〜11月の3ヶ月のSMの総供給力が大幅に縮小している。アジア地域全域のSMのスポット相場がナフサやエチレンの価格の軟化にもかかわらず高どまりしている大きな要因は、これら日本のSMメーカーの定修の集中にあると見られている。

 旭化成ケミカルズを除く3社はすでに定修を完了している。したがって、旭化成ケミカルズの39万トン設備が来週に再稼動するとわが国のSMの供給量はほぼ4ヵ月ぶりにようやく従来のレベルに戻ることになる。

 しかしSMメーカーや大手商社は、これによってアジア地域の需給バランスが緩むことにはならないと判断している。これは、アジア地域のABSやEPSメーカーなどが在庫の払底で窮地に陥っていて早急に補充に乗り出す構えにあることと、来年1〜3月に韓国のSMメーカーの多くが定修入りする予定にあって日本側各社に対して早めにオファーするユーザーが相次いでいることによるもの。こうした実情を裏打ちするように同地域における先物のスポット市況はトン当たりCFR1,250ドル前後に高止まりしている。