2006年12月14日
日化協、欧州議会のREACH案採択に見解「不透明部分なお多い」
【カテゴリー】:行政/団体(環境/安全)
【関連企業・団体】:日本化学工業協会

 欧州議会で13日、欧州の新化学品規制「REACH」案に対する修正案が可決されたが、日本化学工業協会は14日、これに対する公式見解を発表した。
 
 同協会はこれまで「人の健康と環境保全」などをうたったREACHの趣旨そのものには賛同してきた。しかし、同法案は、日欧間の化学品貿易や欧州域内で事業展開している日系化学企業の活動だけでなく、ユーザー業界にも悪影響を及ぼす懸念がある。また、運用に当たっても問題点や不明な点が多く、混乱が予想されるなどの点を指摘、今後の取り組みに「強い懸念」を表明している。

 同協会では今後とくに懸念される点として、具体的に以下の点を指摘している。

(1)データの共有をはじめとする登録時の手続きなど、実際の法運用面において、現時点では不透明な部分も多く、施行にあたり混乱が予想される。特に、欧州におけるコンソーシアムの形成など、域外企業にとって不利となりかねない不明点も多い。

(2)リスクベースの化学物質管理から隔たりがある。
・高懸念物質の使用においてリスクが適切に管理されていても、「認可」申請時に代替計画を提出する義務がある。
・ポリマーを欧州へ輸入する際、既に製造過程で消失している構成モノマーを登録する義務がある。

(3)「認可」の候補物質リストがブラックリスト化し、購買拒否に繋がる可能性がある。

(4)化学業界のみならず川下ユーザーにも情報伝達の義務が課せられ、しかも非常にタイトな実施スケジュールへの対応が必要とされることから、サプライチェーンに混乱を招く可能性がある。

 日化協ではREACH案への対応をめぐり2004年9月、協会内に協議会を設置、欧州議会、欧州委員会、閣僚理事会へ働きかけるともに、欧米化学業界とも連携し改善を図ってきた。

 REACHの施行は、今のところ07年6月が注力視されているが、同協では今後、わが国の化学企業が円滑・的確に対応できるようサポートしていくことにしている。またガイドライン(RIP:REACH Implementation Project)の適正化や運用の明確化など、引き続きREACHの動向を見守り、必要な対応をとっていくとしている。

(注)REACH :the Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1166085376.doc