2006年12月19日
積水化成品、米国の「ピオセラン」工場の稼動を開始
日、台、中に続く4番目の生産拠点としてスタート
【カテゴリー】:経営(海外、原料/樹脂/化成品、新製品/新技術)
【関連企業・団体】:積水化成品工業

 積水化成品工業の全額出資による米国法人「セキスイプラスチックス・USA」は、このほどテキサス州マウント・プレザント市郊外に高機能発泡樹脂(商品名:ピオセラン)の製造工場を建設、試運転を経て本格操業を開始した。

 「ピオセラン」は積水化成品が独自の技術によって開発したポリスチレンと低密度ポリエチレンの複合発泡体で、ポリエチレンが持つ強靭性や耐油性等の特性とポリスチレンが保有する剛性や成形性等の長所を併せ持つ点が大きな強み。発泡体(最小5倍から最大50倍の発泡倍率)なので軽く、それでいて衝撃吸収性や耐薬品性ならびに耐摩耗性に優れ、加えて圧縮加重によるクリープ変形が小さいという特徴も併せ持つ。
 このため、世界各地で各種電子・電気機器の梱包・緩衝材向けや自動車部品向けに需要が拡大しており、そうしたニーズに的確に対応していくための最適供給体制を各地でどのように整備していくかが同社の当面の最重要課題の一つとなっている。

 今回本格操業入りした米国工場は、日本(同社滋賀工場と同社関東工場)、台湾(原聚化学工業新竹工場)、中国(天津積水化成品天津工場)に続く4番目(5工場目)の生産拠点。生産能力は月間平均70トンである。
 これまでは日本や台湾で作った製品を持ち込んで日系自動車メーカーを中心とした米国の市場ニーズに対応してきたが、これからはよりきめ細かくかつ機敏にニーズに適応していけることになる。バンパーの中芯、ドアパッド、下肢部衝撃吸収材、嵩上げ材等の自動車部品のほか、ノートパソコンや薄型テレビ等の電子・電気機器の梱包・緩衝材向けに安定需要を確保していける見通し。

 米社の立ち上がりによって「ピオセラン」の総供給能力は4ヵ国合計で年約6,000トンとなった。積水化成品では、今後も液晶ディスプレー用大型ガラスの搬送向けなど新規用途を相次いで開発していける見通しにあるので、総需要量は引き続き各地で順調に拡大していくと判断している。
 このため、生産拠点のもう一段の拡充にも早急に着手したい考え。2010年には世界全体で年間16,000トンを生産・販売するように持っていきたいとしている。