2001年07月25日
産業省アンケート「化学企業は事業再構築に高い関心」
“規制緩和”や“財政改革”望む声も
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:経済産業省

 経済産業省化学課は25日、2001年春の設備投資調査と関連して化学企業98社を対象に実施した「経営意識に関するアンケート」結果を公表した。
 
 調査したのは(1)経営意識(2)研究開発(3)新規事業投資動向(4)資金調達(5)設備投資動向、の5項目。さらに各項ごとに細かい質問事項を設け、複数で回答を求めている。この中で「事業再構築」については“計画をもっている”と答えた企業が全体の3分の2の64社を占めたほか、「研究開発」に関するアンケートでは“国・大学と民間の協力が必要”とする回答が最も多かった。しかし、設備投資の重点で1、2位を“合理化・省力化”と“設備の更新・維持・補修”とする回答が占め、生産能力増強や研究開発投資を上回るなど、化学各社は今後の経済動向に慎重な見方をしていることをうかがわせた。主なアンケート結果は次の通り。
 
◇経営意識
「わが国の経済システムで今後懸念される項目」について複数回答を求めたところ、トップは消費低迷で60社、次いで米国の景気動向、金融システム不安の順。一時大きな話題となった産業の空洞化やアジアの景気動向などは順位が下がった。
 また、政府の構造改革について、「優先的に取り組むべき課題」をきいたところ、“規制緩和”と“財政改革推進”と答えた企業が50社ずつと最も多かった。
 事業内構築の有無に関する質問には、全体の3分の2に当たる64社が“計画をもっている”と答え、“いない”は10社に満たなかった。その内容については“他社との事業提携”が最も多く、事業革新、分社化などの回答を大きく引き離した。
 
◇研究開発
「研究開発に必要な施策」では“国・大学と民間との協力”が60社でトップ、“グローバルな交流”や“税制拡充”がこれに続いた。
 新しい税制である「増加試験研究費税額控除制度」については約半数の43社が“利用したことがない”と答えた。“額が増加していない”が理由の大半を占めた。
 
◇新規事業投資動向
 新規投資について「問題点」をきいたところ、“将来に対する不確実性”が断トツで“販売ノウハウの獲得”が第2位、“本業の収益悪化”と“技術的ノウハウの不足”がこれに続いた。
 
◇設備投資環境
 設備投資の「重点目標」で最も回答が多かったのは“合理化・省力化”と“更新・維持・補修”でそれぞれ60社を超えた。“生産能力増強”と“研究開発投資”がこれに続いた。投資環境については“国内景気動向によるが、基本的に抑制”と答えた企業が57社と半数を超え、全体に投資にはなお慎重な姿勢が見られた。