2007年01月15日
三井化学が機能樹脂の中間試験設備を新設
ユーザーの品質確認業務の効率アップに寄与
【カテゴリー】:経営(原料/樹脂/化成品、新製品/新技術)
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学はこのほど、同社岩国・大竹工場内に機能樹脂の多目的セミコマーシャルプラントを建設して操業を開始した。
 
 同プラントは、同社が新たに開発したエラストマーや機能性ポリマーの様々な新品種の品質・機能を本格工業化以前の段階で最終確認すると同時に、従来のパイロットプラントでは実現できなかったあるていどまとまった数量のサンプルを生産してユーザーに提供する役割を持つもの。最大で1品種数10トン単位のサンプル提供が可能という。これだけの規模を持つ機能樹脂用セミコマーシャルプラントの稼動はわが国では極めてめずらしく、これが新品種のユーザー評価作業の効率向上にどのように寄与そていくかが注目される。
 
 機能樹脂の新品種が市場に根をおろせるかどうかは、樹脂メーカーが提供するサンプルの品質・機能を需要家の自動車メーカーや電子・電機メーカーなど先端産業企業がどのように評価するかで決まる。当然のことながら需要家は、品質評価の精度を少しでも高めるためあるていどまとまった数量のサンプルの提供を希望する。しかしこれまでは、ほとんどのケースが小規模の試験設備による少量のサンプル配布にとどまっており、このため需要家の多くは不満を募らせていた。
 今回のセミコマーシャルプラントの新設は、そうした需要家の不満を解消して品質評価作業の工程と期間の短縮に大きく寄与することになりそう。また、同社の新品種の開発から本格工業化までのリードタイムの短縮にも役立つことになる見通し。
 素材メーカーに取ってもまた需要家に取っても、世の中のニーズの多様化・高度化に機敏に対応していくには新品種・新製品をタイムリーに上市していくことが不可欠となっている。こうした中では、新素材の最終評価とその的確なフィードバックの作業の効率の向上がこれまで以上に重要となっており、それだけに今回の三井化学の機能樹脂用多目的セミコマーシャルプラントの新設は大きな意味を持つと分析する関係者が多い。