2007年01月17日
日立化成、高密度配線板対応の新規銅表面処理技術を開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:日立化成工業

 日立化成工業は17日、次世代の電子機器に使用される高密度な配線基板向けに、従来と比較して銅配線の表面粗さ(Rz)を十分の一以下(20〜40 ナノメートルレベル)の微細凹凸を均一に形成することで、配線を多層化する際に必要な絶縁層との接着力を確保できる銅表面処理技術を開発したと発表した。

 近年、電子機器では大量の情報を伝送、蓄積するための高密度実装技術が一層重要となっており、次世代の半導体パッケージとして、複数のチップを高密度な配線基板上に実装するシステムインパッケージ(SiP)が提案されている。
 
 SiPでは、高速信号の伝送に対応するために伝送損失の低減が重要となり、配線基板の絶縁層には誘電率・誘電損失の低い樹脂が使用される。
 
 従来は、銅配線と絶縁層の接着性を確保するため、配線表面にマイクロメートルレベルの凹凸を設ける銅表面処理が用いられてきたが、SiPに使用される微細な配線基板では、表皮抵抗を低減し、配線精度を維持するために、絶縁層と配線との密着性確保と配線表面の平滑化の両立が課題となっていた。

 今回同社が開発した表面処理技術は、長年培ってきた銅の酸化・還元処理技術を生かし、従来の処理工程に貴金属処理を加えて改良を重ねたもので、表面粗さ数十ナノメートルレベルの微細凹凸を均一に形成することにより、銅配線表面の凹凸を低減し、絶縁層と配線との接着力を従来レベルに確保することを可能にした。
 
 従来技術では、表面処理に伴う銅の溶解が大きく、配線の微細化が進むにつれ、配線精度を保つことが困難になるが、本技術では銅の溶解が微少なため、配線ピッチ10マイクロメートルレベルの微細配線でも適用できる。酸化・還元処理も従来に比べて低温、短時間で可能となり、配線基板製造時の時間短縮と環境負荷の低減に貢献する。

 同社は現在サンプルワーク中で、今後は市場のニーズに対応しながら早期製品化を図る。なおこの研究は、新エネルギー・産業技術総合開発機構 基盤技術研究促進事業(民間基盤技術研究支援制度)からの委託研究によって実施された。
 
 ニュースリリース参照
 http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1169000033.pdf