2007年01月19日
宜興市が中国最大の環境ハイテクパーク
東京で日中ビジネス交流 技術移転を要請
【カテゴリー】:行政/団体(海外)
【関連企業・団体】:なし

 環境保護対策を進める中国は、江蘇省宜興市に最大の中国宜興環保科技工業園(環境ハイテクパーク)を建設、中国政府、上海などとともにバックアップしているが、市政府と同工業園は16日、東京・芝の東京プリンスホテルで、日中環境ビジネス交流を行った。

 会場には蒋洪亮・宜興市委書記、何曉進・副市長ら幹部7氏が出席した。席上、同工業園と計画中の日中環境技術移転機構の紹介、両国における環境ビジネス市場の現状と展望(青山周・経団連国際協力本部アジアグループ副長)、中国市場への参入体験などが発表された。

 宜興環境ハイテクパークは1992年に国務院から認められた。国家科学技術部と環境保護総局の管理下にある。全国唯一の環境をテーマとした工業園として知られる。

 長江デルタ地域の太湖西北にあって、上海から180キロ、南京から130キロの地点に位置している。江蘇、安徽、浙江の各省の中心地に車で1.5時間ほどで行ける交通の要所。

 市の環境産業は1970年代末に始まり、約30年を経て関連企業が1,000社以上。水処理をメインに大気汚染、騒音防止、固体廃棄物処理、省エネルギー、関連設備の産業分野に分かれて発展している。企業所得税が国家級ハイテク区であるため15%と低い。

 環境設備の現地調達率は95%以上と高い。環境設備の生産はこれまでに8万件をこえている。発展過程の中、情報ネット、販売ネット、アフターサービスネットが全国的に構築され、6,000名余の環境専門の人材が育成された。従業員の定着率も高い。

 市には常設展示場として国際環境技術博覧センターがあるほか、江蘇省環境エンジニアリングセンター、南京大—宜興環保技術研究センター、全国環境保全技術取引市場などがあり、運営に日本の協力を求めている。

 また、日本の先進的な環境技術と製品を中国市場に導入するため、「日中環境技術移転機構」の設立を計画している。同機構は、研究開発インキュベータとしての設備の展示交流と電子商取引センター、企業間交流などで構成される予定。知的所有権の保護も重視している。

 経団連の青山氏は「中国は消費者意識の向上、情報化の進展、GDPの拡大、貿易黒字の増大などによって、03年の循環型経済から06年には環境調和型社会への移行が見られる。環境政策が始動し、日中間でも省エネルギー・環境総合フォーラム(06年5、6月)、省エネルギー・環境ビジネス協議会の開催(06年12月)など日中環境ビジネスが大きく進展、中国の環境保護産業の販売も大きく伸びている」と、「環境を制する企業が中国を制する」時代であることを強調した。

 宜興市に進出した日立環境技術は「販売パートナーが選べた。投資条件もよく、工場の賃貸料が安かった。労務費が安く、定着率が安いこと、また、カスタマーの確保ができた」と語った。

 排水処理用送風機の東浜工業(本社・久喜市、中国企業名は百事徳機械)は「パートナーに恵まれた。現在、年8,000セットの製品を生産(年間売上1億3,000万元、従業員125名)、95%を現地で販売している。対売上利益は約10%、このうち30%を日本に送金している」と述べた。

 宜興市は総面積2,038.7平方キロ、人口106万人、江蘇省の南部にあり、陶器の生産で知られる。中国の教授の里、環境産業の都である。社会治安安全市だ。昨年10月までに外資1,711社が進出、19.37億ドルを投入した。
 問い合わせは宜興環保科技工業園日本連絡事務所(TEL:044—982—5688)