2007年02月08日
SMも今年上期のアジアの需給逼迫が必至
極東における定修の集が大きく影響
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:なし

 SM(スチレンモノマー)メーカーならびに大手商社の多くは、アジア地域におけるSMの今年上期の需給バランスがこれまでになく逼迫すると予想している。
 これは、需要がABS樹脂向けとEPS向けを中心にアジア全体で引き続き順調に伸びる見通しにあるのに対してSMメーカーの新増設規模が小さく、しかも極東を中心にSMメーカーの定修が上期に集中する見込みにあることによるもの。
 
 SMメーカーや大手商社の多くは、今年のアジア全体のSMの年間需要量を前年比5%増の約1,260万トンと想定している。世界全体の伸びは3%前後と見られるが、アジアの場合は中国の需要がABSやEPS向けに他の国以上に大きく伸びる見通しなので世界全体の成長率を上回るのが必至と判断しているわけ。
 
 対するアジア全体の設備能力は韓国・サムソン・トタルや台湾・FCFCの増設をカウントしても約1,400万トンと見られている。単純に稼働率を割り出すと90%ということになる。ところが、もともとSM装置は操業トラブルが生じやすく例年かなりの数のプラントが1〜2ヵ月運休している。したがって、平均90%稼動を維持していくことは容易でなく、しかも今年上期はSMプラントの定修が集中する見通しにあるので実際には総供給量が需要量を下回るのは避けられないというのがSMメーカーと大手商社に共通した見方となっている。
 
 現在のところ上期に定修によるプラントの運休を予定しているのは、新日鉄化学、旭化成ケミカルズ、日本スチレンモノマー、三菱化学、韓国・LG大山、同・BASF、同・サムスン・トタル、同・LGケミカル、マレーシア・イデミツスチレン、タイ・サイアムスチレン、中国・北京燕山石化、同・吉林化学、台湾・FCFC、豪州・ハンツマン、サウジ・サダフ--といったところ。中東を含むアジア地域のSMメーカーのうちの38%に相当する企業が定修で1ヵ月強運休するわけ。この間に欧米からよほど大量に持ち込まれない限り需給は逼迫することになる。