2007年02月09日 |
東レ、炭素繊維 日米仏で4,000トン増設、世界シェア40%確保へ |
【カテゴリー】:経営(新製品/新技術) 【関連企業・団体】:東レ |
東レは9日、航空機向けなどPAN系炭素繊維の需要拡大に対応するため、日米仏3拠点で同時に同繊維「トレカ」複合材料の生産設備増強を決めたと発表した。 総額550億円を投じて、2009年初までにグループ全拠点で設備増設を行うほか、国内では愛媛工場に次ぐ二番目のプリプレグ(炭素繊維樹脂含浸シート)生産拠点として、新たに石川工場(石川県能美市)に設備を新設する。 同社は04年から炭素繊維関連の設備投資を集中的に行い、2007年8月までに年13,900トン体制への増設(2003年末能力は7,300トン)を決定、実施中である。 今回の決定により、炭素繊維のグループ生産能力は4,000トン増の年17,900トン、プリプレグは1,160万平方メートル増の年3,380万平方メートルにそれぞれ拡大する。2004年以降の累計投資額は総額約1,100億円に達する。 今回の増設計画は、米国子会社のトーレ・カーボン・ファイバーズ・アメリカ社(CFA社)とフランス子会社のソフィカール社にそれぞれ年産1,800トン、国内では愛媛工場に年産400トンの高性能炭素繊維の設備増強を行う。 CFA社には、増産に対応してプリカーサ(原糸)の生産設備も増設する。一方、プリプレグについては、米国子会社のトーレ・コンポジット・アメリカ社(TCA社)に年産580万平方メートルの生産設備を増設するほか、石川工場に同能力の設備を新設する。 これにより、米国ボーイング社が2008年の就航を目指す、新型旅客機B787向けの材料供給体制を拡充する。さらにスポーツ、一般産業の各用途における新規需要の立ち上がりに対応した安定供給体制を構築する。 PAN系炭素繊維の世界需要は現在、約27,000トン(2006年)と推定され、今後も年率15%前後の高成長が見込まれている。航空機需要の本格拡大に加えて、CNGタンクなど石油代替エネルギー関連用途の需要拡大、将来的には自動車分野における本格普及も見据えて、2010年の世界需要は45,500トンに達すると予測されている。 東レは、2010年までに炭素繊維のグループ生産能力を年24,000トンに拡大する一方、炭素繊維・中間基材・コンポジットにわたる垂直統合型の事業展開を推進・強化する。2010年には世界販売シェア40%(2006年現在34%)、連結売上高目標1,600億円を目指す。 【工場・関係会社の概要】 <愛媛工場> 設 立:1938(昭和13)年4月 所 在 地:愛媛県伊予郡松前町大字筒井1515 生産品目:ポリエステル短繊維、アクリル短繊維、PPS繊維、PBT樹脂、LCP樹脂、 PAN系炭素繊維およびプリプレグ、成形品、逆浸透膜エレメント、 動物用インターフェロン <石川工場> 設 立:1975(昭和50)年6月 所 在 地:石川県能美市北市町リ1 生産品目:ナイロン長繊維、ポリエステル長繊維 <トーレ・カーボンファイバーズ・アメリカ社(CFA社)> 設 立:1997(平成9)年5月 所 在 地:米国アラバマ州ディケーター市 資 本 金:115百万米ドル(東レ100%) 事業概要:PAN系炭素繊維の製造・販売 <トーレ・コンポジット・アメリカ社> (TCA) 設 立:1992(平成4)年5月 所 在 地:米国ワシントン州タコマ市 資 本 金:44百万米ドル(東レ100%) 事業概要:PAN系炭素繊維プリプレグの製造・販売 <ソフィカール社(SOFICAR)> 設 立:1982(昭和57)年12月 所 在 地:フランス共和国ピレネー県アビドス市 資 本 金:34.8百万ユーロ(東レ70%、ARKEMA社 30%) 事業概要:PAN系炭素繊維の製造・販売 ニュースリリース参照 http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1171001492.pdf |