2007年02月14日 |
昭和電工、高性能大型 面発光 有機ELパネル実現へ |
広告媒体・表示装置等用途開発を推進 |
【カテゴリー】:経営(新製品/新技術) 【関連企業・団体】:昭和電工 |
昭和電工は14日、開発中のりん光発光材料を使用した単層型高分子有機EL素子について、緑色で17%、青色で16%と世界最高水準の外部量子効率(*1)を達成したと発表した。 耐久性では35万時間まで到達しており、今後、実用化に向け本格的なマーケティング活動を開始する。有機ELパネルは、ディスプレーや照明などへの利用が期待されている。今年央までに大型面発光パネルの量産試作ラインを設置する予定である。 有機ELの発光方式には蛍光とりん光(*2)の2種類があり、蛍光発光の有機ELはすでに携帯電話などに使用されている。りん光は理論上蛍光の4倍の発光効率を得ることが可能だが、耐久性の点で問題があった。 昭電が開発中の有機ELパネルには、りん光発光性を持つ発光体をその他の材料と共重合体化(*3)した、独自の高分子材料を用いているのが特徴。発光素子はシンプルな単層構造となっており、現時点で最高レベルの発光効率を達成している。 低分子有機ELの場合は、真空状態での製造条件が必要だが、高分子有機ELではその必要がなく、相対的に低コストでの生産が見込まれている。 これまでは、発光効率や寿命などの点で期待される性能が得られず、実用化が進んでいなかったが、今回、独自のりん光発光材料とクリーン化技術などの電極界面制御技術(*4)により、単層構造の高分子で安定的に高性能を発揮する有機ELパネルの生産を可能にした。今後、さらに開発を加速し、08年中の上市を目指す。 【注】 (*1)外部量子効率:投入したエネルギーが最終的に光として外部に取り出される効率。理論上、りん光発光の外部量子効率の限界値は20%。 (*2)蛍光とりん光:有機ELの発光方式。りん光発光は従来の蛍光発光に比較して約4分の1の低消費電力化が可能。 (*3)共重合体化:りん光発光性を持つ高分子材料とその他の材料が重合した高分子。 (*4)電極界面制御技術:有機ELは100nm以下の有機薄膜を電極で挟んだ構造をしており、電極表面の清浄度や仕事関数が素子の特性に大きく影響を与える。 ニュースリリース参照 http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1171417401.doc |