2007年02月16日
昭和電工の有機ELパネル生産に高い関心 
08年のスタート目指す リン光・高分子型
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:昭和電工

 昭和電工は14日、薄型テレビなどの表示装置として注目されている有機EL(エレクトロルミネッセンス)のパネル製造に進出する計画を発表したが、早くも内外の関心を集めている。同社は今年半ばまでに千葉事業所に量産設備を建設、08年中に市場での販売活動を開始する予定である。

 昭電は04年からNHK放送技術研究所と提携、高分子型の有機EL材料の研究に着手した。独自のリン光による発光技術で、試作した有機ELパネルはエネルギー効率の指標となる外部量子効率(理論値で20%)が緑色で17%、青色で16%を達成したという。従来型の蛍光発光技術では5%ていどにととどまっている。

 また、リン光発光を繰り返すことで従来の4倍の発光効率が得られる。この結果、電気エネルギーを光に転換する際のエネルギー利用効率が高まり、また強く光らせることができる。

 同社は電極への表面処理技術の採用などでも、これまでより構造を簡素化、コストの安いパネルの生産に見通しをつけた。最大30インチのパネルの量産化を進める。また、大型画面も手がける意向を見せている。

 有機EIパネルは発光する有機化合物を、電極ではさみ電気を通すと映像や文字を表示する。液晶と違いバックライトがいらず、パネルが薄くできるほか、動画の表示に向いているという特徴がある。

 有機ELパネルのコストは液晶に比べ割高だが、動画向きの特徴を生かし、量産化によりコストダウンを進めて商品化すれば、市場での活躍が期待できそうである。

 有機ELリン光発光技術は米プリンストン大のUDC(ユニバーサル・デスプレイ社)も開発、PPG社で生産している。携帯電話から大画面TVに至るまで電子機器メーカーが評価、製品への組み入れを検討している。