2007年02月21日
PVCの1月の出荷、輸出の大幅増で前年比4.7%増
VCMの出荷は14ヵ月ぶりに前年同月を割り込む
【カテゴリー】:実績/統計(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:塩ビ工業・環境協会

 塩ビ工業・環境協会が21日に集計したところによると、塩ビ樹脂(PVC)の1月の生産・出荷実績は、生産が前年同月比2.2%減の183,266トン、出荷が同4.7%増の181,994トンとなった。生産は2ヵ月連続の前年同月割れ、出荷は逆に2ヵ月連続の前年同月超えである。
 
 出荷が前年同月を上回ったのは、輸出が中国向けを中心に好調を維持して同16.1%増の75,060トンとなったため。これで輸出は6ヵ月連続の前年同月超えとなった。
 反面、国内向けは同2.0%減の106,934トンで、7ヵ月連続の前年同月割れとなった。主力の硬質向けが7ヵ月連続の前年同月割れの1.3%減と引き続き不調であったのに加えて軟質用も6.5%減と不振であったのが響いている。電線その他用は2.5%増で12月に続いての前年同月超えとなっている。
 
 この結果、ポリオレフィン3樹脂にPS、PVCを加えた合計5品目の汎用樹脂の1月の国内向け出荷は全て前年同月割れとなった。最近では昨年11月に続いてこれが2回目となる。
 
 同日、定例の記者会見に臨んだ土屋隆・同協会会長(東ソー社長)は、PVCの国内出荷の前年割れが続いていることについて「公共投資の回復の遅れが大きな要因」と分析、合わせて「今後も楽観は禁物なので東ソーグループはPVCとVCM(塩ビモノマー)の両方の最適生産に一層注力していく」と需給の均衡に対する熱意も表明した。
 もっとも、PVCの新市場開拓の見通しについて報道陣から見解を求められると「塩ビの持つ品質・機能面の強みが次第に多くのユーザーに理解されはじめているので、塩ビサッシやサイディングをはじめとした新たな需要が相次いで開けていく見通し」と明るい展望も披露した。
 一方、VCMの1月の実績は生産が同7.3%減の281,258トン、出荷が同4.9%減の256,480トンとなった。出荷の前年同月割れは14ヵ月ぶり。過去13ヵ月連続で前年同月を上回ってきた輸出が14.0%減となったのが響いている。国内向けは、PVC用の不振で1.3%減で3ヵ月連続の前年同月割れとなった。