2007年03月07日
BPAのアジアスポット市況、EX向けが続伸
三井化学はPC向けのコントラクト価格も引き上げへ
【カテゴリー】:市況(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:三井化学

 BPA(ビスフェノール-A)のアジアのスポット市況が続伸している。シップメントベースで変動する中国のEX(エポキシ樹脂)メーカー向けの上昇率が特に高い。今週明けのスポット価格はトン当たりCFR1,800〜1,850ドルで、1ヵ月前の価格を同70〜80ドル上回るレベルとなっている。

 一方のPC(ポリカーボネート)向けの価格はほとんどが四半期単位で切り替えられるパターンとなっているので、全体では今年に入って大きな変動はない。アジア地域全体のCFR価格の平均は同1,750ドルとなっている。このため、現在では05年第2・四半期いらい7・四半期ぶりにEX向けがPC向けを逆転する事態となっている。

 EX向けについて、大手サプライヤーの一つである三井化学では、3月中旬渡しの対中価格を同50ドル引き上げて同1,850〜1,900ドルにしたい考えだ。原料ベンゼンの価格が3月に一段と引き上げられる見通しにあるためで、3月下旬渡し分については、BZ価格次第で同2,000ドルに再値上げすることも考えているという。

 一方のPC向けについても第2・四半期分は引き上げが不可欠としている。同50〜100ドル上げて同1,800〜1,850ドルに持っていくことになるようだ。
 
 狙い通り実現できるかどうかのポイントはアジア全体のBPAの需給バランスがどう推移していくかに絞られるが、この点に関して同社では「アジア地域全体の需要が着実に増えていくのに対して供給設備能力の拡大規模がそれを下回るのでタイトとなるのが必至」(粕谷俊昭・同社フェノール事業部部長BPAグループリーダー)と判断している。

 同社では、日本を除くアジア地域の07年の総需要量を06年比21万トン増の129万トン、対する供給能力を19万トン増の144万トンと予想している。単純平均稼働率は90%で、06年より4ポイント上回るが供給力にまだ若干の余裕が生じる計算になる。しかし、定修や操業トラブルの発生が不可避なので年を通してタイトバランスとなるというのが同社の見方だ。