2007年03月08日
三菱化学、四日市にポリマー総合研究開発センターを完成
中核のワークショップ「カスタマーラボ」も稼動開始
【カテゴリー】:新製品/新技術(経営)
【関連企業・団体】:三菱化学、三菱化学科学技術研究センター

 三菱化学はこのほど同社四日市事業所内に、自動車メーカーをはじめとした需要家と共同で高機能プラスチック材料や加工部材の研究を進めていくためのワークショップ「カストマーラボ」を中核とするポリマー総合研究開発センター「四日市未来創造館」を完成し、稼動を開始した。
 
 今回新設された四日市未来創造館は、高機能各種コンパウンドを製造する「混練棟」(2階建てで延べ床面積2,400〓)、様々なポリマーを各種の加工機械で成形加工してポリマーならび加工製品の持つ機能や品質を評価・確認する「成形棟」(1階建てで同1,360〓)と「実験棟」(4階建てで同3,840〓)、そして自動車や電機・電子製品に必要なポリマーや加工部材等を需要家とともに研究開発すると同時に製品の評価・実験も合わせて実施する「カスタマーラボ」(一部2階建てで同2,072〓)の4部門で構成されている。
 
 建屋は、幅が48メートル、奥行きが125メートル、最大高さが21メートルという大きさ。総延べ床面積は樹脂倉庫や電気室を含めて10,480〓。建設所要資金は、建屋と内部の各種成形・実験装置の合計で26億5,000万円となった。
 
 三菱化学は、横浜、筑波、四日市の3拠点にマザーラボを置き、ユーザーとともにグローバルに事業を拡充させていくのに必要な革新的な技術と製品の開発に取り組んでいる。四日市では三菱化学と三菱化学科学技術研究センターが中心となって自動車や電機・電子製品向けをはじめとする機能性ポリマーや加工部材の研究開発を進めてきたが、一段と高度化・多様化する需要家のニーズにより機敏・的確に対応していくため機能を大幅に充実・強化した研究開発新棟「四日市未来創造館」の設置に踏み切ったもの。
 
 「成形棟」や「実験棟」内部には、自動車のフェンダーやフロントエンドモジュール等の大型部材を成形するための型締力4,000トンの大型射出成形機や同社グループ特有の高機能タルクマスターバッチ装置、さらには低発泡PP多層シートを成形するための射出圧縮成形機や多層フィルムを高速製膜するための4種・5層インフレーション装置等々、最新の成形・加工装置が多数設置されている。

 また「カスタマーラボ」には、2色成形・発泡成形・型内加飾等の様々な成形が可能な多目的射出成形機や樹脂の溶着性能を評価するための溶着機、さらには歩行者が車輌との衝突時に頭部や脚部に受ける衝撃を測定する「歩行者保護試験機」や異なる温度環境下での樹脂性能を評価する「環境試験室」も設けられている。

 その全てが、同社と日本ポリプロをはじめとした関連グループ企業が知恵を集めて設計して特注したもの。機能性と強度の両方のニーズを満たすとされる複合部材の試作に多くのエネルギーが投入されている印象だ。

 同社では、さらに今年夏までにより大型(850トン)の多目的射出成形機や水冷インフレーション装置など多数の成形・実験機を追加設置していく計画。わが国有数のポリマー総合研究開発体制が整備されるわけで、自動車メーカーや電機・電子メーカーがこれをどう活用していくかが注目される。


四日市未来創造館

射出成形機