2007年03月23日
ポリオレフィンのフィルム品種の増減に格差
PPは3ヵ月連続の前年超え、PEは6ヵ月連続前年割れ
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(実績/統計)
【関連企業・団体】:なし

 ポリオレフィン3樹脂の主力品種の一つであるフィルム用グレードの対前年同月比に格差が生じはじめてきた。
 
 3樹脂のフィルム用品種の2月の対前年同月比は、HDPEが8.6%減、LDPEが1.2%減、PPが1.8%増となっている。この結果、HDPEとLDPEのフィルム用はともに6ヵ月連続の前年同月割れとなった。一方、PPのフィルム用品種は3ヵ月連続の前年同月超えである。これに伴う今年1〜2月トータルの対前年同期比は、HDPEが8.5%減、LDPEが0.8%減、、PPが3.2%増となっている。

 ポリオレフィン3樹脂のフィルム用品種の出荷は、05年第4・四半期以降の長期にわたり前年同月を割り込む状態が続いてきた。それがここにきて3者3様の動きに変わってきている。
 変化をもたらしている最大の要因は、同じフィルム用品種でも樹脂によって機能性品種の開発・育成に格差が生まれてきたことにあると見られる。

 HDPEフィルムの縮小は、汎用品種を代表する薄肉・強化フィルムの需要の長期低迷によるもので、最近は大手スーパーの間で顕在化してきたレジ袋の使用自粛の動きが全体の落ち込みに一層拍車をかけるかたちとなっている。この結果、薄肉・強化フィルム用品種の2月の出荷は27ヵ月連続の前年同月割れを記録するに至っている。同品種に替わって伸びる分野の開拓はまだ進んでいない。

 LDPEフィルムの場合は、HDPEフィルムのレジ袋のような汎用量産品種が存在しないものの、地方マーケット独自のきめ細かいニーズへの対応努力が実を結んで小幅の縮小にとどまっている。しかし、今後の成長が見込める新品種の育成はまだこれからという状態。

 一方のPPフィルムの最近の成長には、産業・工業材料の包装向けの機能品種の開発・上市が大きく寄与していると見られる。日本ポリプロピレンフィルム工業連合会の品種別の出荷統計からもそのあたりが端的にうかがえる。同フィルムの最大消費分野である食品包装向けの低迷を完全にカバーしており、しかも今後もITや自動車産業など先端技術産業向けに需要が拡大していくことが期待されている。