2007年04月04日
カネカ、薄型系太陽電池で世界最高の変換効率12%開発に成功
「新ハイブリッド太陽電池」今年秋、本格販売
【カテゴリー】:経営(新製品/新技術)
【関連企業・団体】:カネカ

 カネカは4日、薄膜製造装置の自社開発により薄膜系太陽電池としては世界最高水準となる変換効率12%を有する新ハイブリッド太陽電池の開発に成功したと発表した。100%出資子会社であるカネカソーラーテック(本社:兵庫県豊岡市、浜口訓路社長)で、新ハイブリッド太陽電池の量産化を進め、今年秋に本格販売を開始する。

 今回開発した新ハイブリッド太陽電池は、従来の2層構造(アモルファスシリコンと薄膜多結晶シリコン)に新規透明中間層を積層する画期的な技術により、変換効率12%を達成した。

 アモルファスシリコン2層と薄膜多結晶シリコン1層の3層構造では、変換効率は向上するものの、生産効率が落ちるという課題があった。同社は透明中間層を用いる独自の技術で2層構造のままで変換効率を高め、かつ大面積(標準基板サイズ:1200ミリ×998ミリ)化に成功した。

 現在、研究段階では910ミリ×455ミリ・サイズで変換効率13.5%の開発にも成功しており、数年先をめどに大面積化を実現し、量産化する予定だ。

 <新ハイブリッド太陽電池の主な特徴>
(1)薄膜製造装置の自社開発の成功により、製造設備コストを大幅削減した。
(2)自社開発の薄膜製造装置は、多数枚を一括で製膜できることから製造ラインの生産性の大幅向上が可能。
(3)透明中間層により、赤外から可視光領域(赤から紫)までの幅広い波長領域から効率よく光を取り込むことが可能となり、変換効率が向上した。
(4)シリコンの使用量が結晶系太陽電池の約100分の1であり、格段に省資源。
(5)大面積のため用途に応じたサイズに加工が可能で、デザイン面の自由度が高い。