2007年04月04日
「日タイEPA」に署名、経済連携強化へ
【カテゴリー】:行政/団体(海外)
【関連企業・団体】:経済産業省

 経産省は4日、安倍晋三首相と来日したスラユット・タイ首相が3日、日タイ経済連携協定(EPA)に署名し、2004年2月から3年以上にわたった交渉が決着したと発表した。
 
 EPAの署名は日チリEPAに次いで6番目、08年度からの発効を目指す。
 
 タイは日本にとり第7位の貿易相手国、またタイは日本にとって第7位の投資先で、アセアンではシンガポールに次いで第2位と両国の関係は深い。(財務省04年度統計=タイからの輸入:1兆9,639億円、タイへの輸出:2兆6,647億円)
 
 経済成長が続くタイには「アジアの生産拠点」として、日本から自動車、家電のほか、化学業界では三井化学、三菱化学、宇部興産、日本ゼオンなど、合わせて1200以上の企業が進出しており、貿易・投資先としての重要性が高まっている。今回のEPA締結は、現地日本企業の経済的利益の確保・強化につながるとみられる。
 
 協定が発効すれば、日タイ双方がほぼ全品目の関税を10年以内に撤廃する。(タイ側約97%、日本側約100%)
 
 化学品の場合は、タイが特恵対象国のため、現在ほとんどの製品が実質関税ゼロで輸入されている。例外的にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンの3樹脂に対して1.3%の関税をかけているが、これらの関税は5年以内に完全撤廃される。
 
 両国首相は署名にあたり「両国は、東アジア地域における安定、安全保障及び繁栄への貢献という両国が共有する責務を果たすため、いかに緊密に協働すべきかについて議論した」との共同声明を発表した。

 EPA協定は、自由貿易協定(FTA)と異なり、関税引き下げのほか、サービス、投資、人の移動の円滑化など、貿易にとどまらない経済の幅広い分野で協定が結ばれている。
 
 共同声明では「アンチダンピング」について次のように述べている。
 「両首脳は、ダンピング防止措置に安易に頼る傾向が世界で強まっていることを認識し、こうした措置が貿易を阻害し、国内産業を不公正に保護するという保護主義的な目的のためにしばしば濫用されることについて深い懸念を共有する」