2007年04月05日
三菱化学もOCUの新設でプロピレンを増産へ
鹿島に15万トン装置を08年11月に建設
【カテゴリー】:経営(原料/樹脂/化成品、新製品/新技術)
【関連企業・団体】:三菱化学

 三菱化学は5日、今年12月に同社鹿島事業所内でエチレンとC4ラフィネートからプロピレンを製造するための新装置(OCU=オレフィン・コンバージョン・ユニット)の建設工事に着手すると発表した。
 
 プロピレンの生産能力は年15万トン。完工は08年11月の予定。所要資金がいくらになるかは明らかにしていない。同ユニットは、C4ラフィネート2(2-ブテン)年10万トンとエチレン同5万トンから同15万トンの高純度プロピレンを高効率で製造するというもの。米・ABBルーマス社のプロセス(オレフィン・コンバージョン・プロセス)を採用する。
 
 三菱化学は、PPをはじめとしたプロピレン系誘導品の需要が予想以上に拡大してきたため原料プロピレンの自給力が完全に不足、最近は年間14~15万トンのプロピレンを外部から購入している状況にある。しかも、日本ポリプロが鹿島で年産30万トンの新鋭大型PPプラントの建設に踏み切っていて今年末には完工となるため、来年以降の外部依存度はさらに大きく拡大するのが必至の見通しとなっていた。

 しかし今回のOCUが完成すると、08年末以降は外部依存度をかなり低めに抑えることができ、しかも2-ブテンの活用によってコスト競争力の強化も図れることになる。したがって、三菱グループ全体のプロピレン系誘導品事業部門、ひいては同グループ全体の石油化学部門の体質強化が今回のOCUの新設によって大きく促進されることになると同社では説明している。
 
 これでわが国におけるOCUの採用企業は、04年秋にスタートした三井化学(年産14万5,000トン能力)、06年春に本格操業した新日本石油化学(同13万6,000トン能力)と今回の三菱化学を合わせて3社となる。これらに続いては、三井化学、出光興産、住友化学の3社の共同投資計画がいわゆるRINNG3プロジェクトの一つとして推進されようとしている。

 海外では、米・ライヨンデルペトロケミカル(同45万トン)、米・BASF/Fina(同30万トン)、中国・SECCO(同15万6,000トン)、シンガポール・PCS(同20万トン)、韓国・大韓油化(同11万トン)がそれぞれ工業化している。

 今年中に立ち上がる設備としては、台湾・FPCの25万トン装置、マレーシア・タイタンの13万t設備、独・OMVの23万5,000トンプラント、韓国・LG石油化学の同12万2,000トン装置、英・ヘレニックリファイニングの同25万トン設備が挙げられる。