2007年04月12日
宇部興産・田村社長が新中計「収益基盤の一層の強化目指す」
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:宇部興産

 宇部興産の田村浩章社長は12日記者会見し、09年度を最終年度とする中期経営計画「ステージアップ 2009」を発表した。この中で「収益基盤、財務内容の一層の改善と強化を図る」との点を強調した。
 
 前回の3カ年中計は06年度に終了するが、この間の業績は好調で、目標の財務指標や収益内容は1年前倒しして達成した。

 新中計は、この成果をもとに、目標ステージをもう一段高く掲げることにした。まず、5年後の2011年度のターゲットを以下のように設定した。
 ◇営業利益  :650億円以上 (減価償却制度変更前ベース 705億円以上)
 ◇売上高営業利益率・総資産事業利益率 :各8.5%以上
 ◇ネットD/Eレシオ :1倍未満 1

 新中計の「ステージアップ 2009」はこれを実現するためのアクションプランという位置付けとなる。 基本方針は、
  (1) 持続的成長が可能な収益基盤の確立
  (2) 財務構造改革の継続
  (3) CSR活動の深化 時価総額の増大、としている。
 
 新計画の主な数値目標は次のとおり。
 ◇ネットD/Eレシオ :1.3倍未満(06年度見込み=1.8 倍)
 ◇自己資本比率 :30%以上(同=23.5%)
 ◇売上高営業利益率 :7.5%以上(同=6.6%)
 ◇総資産事業利益率(ROA) :7.5% 以上(同=6.4%)
 ◇自己資本当期利益率(ROE) :12%以上(同=12.0%)
 ◇売上高 :7000億円以上(同=6,500億円)
 ◇営業利益 :530億円以上(430億円)

<成長戦略事業>
 将来成長が見込まれるところから、今後集中的に資源投入し、迅速な事業規模の拡大と収益増大を図る次の各事業を「成長戦略事業」と位置付けた。主な戦略は以下の通り。

・ポリイミド事業
薄型テレビを始め主要マーケットの急速な拡大が今後見込まれるため、これに対応して集中的な設備投資を既に意思決定しており、本計画期間中に06年度期首に対して約2倍の能力(4,100万平方メートル)に増強する。

・電池材料事業
リチウムイオン電池のハイエンド市場で圧倒的なポジションを占める電解液は、競争優位性を保持しながら周辺分野への事業領域の拡大を図り、また中国市場でデファクトスタンダードを確立したセパレーターは、国内ハイブリッドカー向け電池用途も視野に入れ、コスト競争力を高めながら更なる設備能力の増強と拡販を図る。

・半導体関連・電子材料事業、ガス分離膜事業
シリコンウェハー洗浄液用の高純度硝酸や半導体エッチングガスに用いられる三塩化ホウ素などの高純度化学薬品は、需要の増大に対応した設備増強を図る。また市場が急速に拡大している窒素・水素分離膜や、今後環境規制によって爆発的な需要が期待されるバイオエタノール用脱水膜などは、タイミングを逃さず迅速な能力拡大と設備の立上げを目指す。

・ファインケミカル事業
電解液等の原料となるDMC(炭酸ジメチル)やポリウレタン原料の1.6ヘキサンジオールは、グリーンケミストリー製品として環境にも貢献し世界的に需要が伸張しているため、プラントの新・増設を図る。また環境コーティング材料などについては、将来の事業領域拡大のための開発、技術導入、M&Aに積極的に取り組む。

・リサイクル事業
セメントキルンでの廃棄物処理は、セメント事業での安定した収益確保と循環型社会の構築に大きく貢献している。今後処理設備を一層充実させ処理能力を増やしていくことにより、毎年10億円ずつ処理収入を増加させ、2011年度には150億円の廃棄物処理収入を目指す。


ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1176337369.pdf