2007年05月18日
汎用樹脂の輸出の対中依存度が低下
PPは中国向けの比率が依然他を圧倒
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(海外)
【関連企業・団体】:なし

 汎用樹脂の総輸出量に占める中国向けの比率がここにきて微妙に変化してきた。過去数年は各樹脂メーカーが対中輸出に特に積極的に取り組んできたため輸出量全体に占める中国向けの構成比が年を追って拡大してきていた。それが最近は、PPを除いて縮小の傾向に変わってきている。昨年後半から汎用樹脂メーカーの間では、“取り引き条件が厳しい中国への過度な依存を避けるべき時期がきたかも知れない”と発言する向きが現われていたが、どうやら実行に踏み切るところが出てきた感じである。
 
 財務省の通関統計によると、今年1月から3月までの汎用6樹脂それぞれの総輸出量に占める中国向け(香港向けを含む)の構成比は、LDPEが55.4%、HDPEが54.3%、PPホモポリマーが64.4%、PPコポリマーが57.3%、PSが66.0%、PVCが63.0%となっている。
 樹脂別に過去3年の推移をたどると別表のようになる。合計6品目のうちPP−HとPP-Cを除く4品目は今年第1・四半期の対中依存率が06年計を大きく下回っている点が注目される。05年や04年に比べても大幅に下回る構成比となっている。
 LDPE、HDPE、PS、PVCの各樹脂メーカーによると、最近は従来以上に輸出についても採算を重視していくようにしているので中国にあまり執着しなくなったという。商談の対象を少しでも条件の有利な国々に広げるようにしているというわけだ。
 むろん四半期単位ていどで単純に判断を下すわけにはいかない。また、中国の国産化の進展も計算に入れなければならない。しかし、引き続き好条件で取り引きできると言われるPPを除くと汎用樹脂業界の輸出政策がわずかながら変化を遂げつつある点はどうやら否定できないところと言えそうだ。

【関連ファイル】
汎用樹脂の輸出の対中国構成比率の推移
https://www.chem-t.com/news/files/tmp_file1_1179501709.xls