2007年05月22日 |
ゼネラル・エレクトリック、プラスチック事業をSABICに116億ドルで売却 |
【カテゴリー】:海外 【関連企業・団体】:SABIC、GEプラスチックス |
ゼネラル・エレクトリック(GE)は21日、子会社のGE Plastics をサウジのSABICに現金116億ドル+借入金で売却する契約を締結したと発表した。今後、当局の承認などの手続きを経て、本年第3四半期に取引完了する。 GEは売却で税引き後に約90億ドル(1兆円超)の収入を得るが、同社はこれを自社株購入に当て、2007年の60億ドルの購入計画を70〜80億ドルに増やす。 GEプラスチックスは、Jeff Immelt 現会長やJack Welch Jr. 前会長の出身事業部で、製品には変性PPE、PC、PBT、PEI (polyetherimide)、ABSやそれぞれのアロイ、及びLNP コンパウンド(川鉄から買収)がある。 1953年にポリカーボネート樹脂を開発して以来、エンプラ・トップメーカの地位を維続するとともに、現地化を積極的に推進している。 日本では日本GEプラスチック(GE 51%、三井化学 41%、長瀬産業 8%)が変性PPO、ポリカーボネートなどを製造、販売している。 GEプラスチックスは儲かってはいるが、原料価格高騰で2006年第3四半期には利益は23%落ち込んでいた。 GEは1月19日に第4四半期結果を発表したが、その中でプラスチックス事業の処分を検討していることを正式に明らかにした。 発表のなかで、GEのJeff Immelt 会長兼CEOは次のように述べている。 「我々はleadership businessへの投資戦略を継続して実行する。我々の狙いはより速い成長、より高い利益である。本年に入り、原油・ガス、ヘルスケア、航空という成長プラットフォームでの150億ドルの買収を発表した。逆に成長が遅く、変動の激しい事業からの撤退を続ける。現在、プラスチック事業の処分を検討中である。」 GEは今年に入り、1月8日にJPモルガン・パートナーズなどの投資ファンドから、原油・ガス採掘関連機器のVetco Gray を19億ドルで買収すると発表した。石油・ガス産業でのGEの存在を拡大するもので、インフラストラクチャー部門の強化となる。 1月15日には自動車・航空部品大手の英スミス・グループの航空宇宙部門Smiths Aerospace を48億ドルで買収することも決めた。この買収はGE Aviation 部門の民間機及び軍用機用エンジンに、Smith の飛行管理システムその他を加えることにより、この分野での活動を高める効果がある。 さらに1月18日に米医薬大手のアボット・ラボラトリーズの診断機器部門の一部を81億3千万ドルで買収すると発表した。アボットの診断事業のうち試験管を使った血液検査機器などで、アボットの糖尿病治療ビジネスやエイズ検査に使う分子診断薬などは含まれない。 GE Plastics 売却情報で多くの会社が買収を希望した。 投資会社では、Blackstone はKoch Industries (DuPontのTextiles & Interiors 部門のINVISTAを買収)と組み、Carlyle は投資会社のTexas Pacific Group と、KKR もBain Capitals(Rhodia のフェノール事業を買収、イスラエルDor Chemicalsに出資) と組んだ。昨年、GE Silicones を買収したApollo Management も買収に手を挙げた。 化学会社ではBasell、SABICのほか、インドの Reliance Industries も手を挙げた。 5月10日付けのBloomberg は、GE Plastics の売却先がApollo、Sabic と Basell の3社に絞られたと報じていた。 SABIC は2002年にSABICが22.5億ユーロでDSMの石化部門を買収しているが、昨年には7億ドルでHuntsman の欧州汎用品事業を買収した。 その際、SABIC副会長は、それがSABICがグローバルに拡大する意思を示すものであるとしていた。 今回の買収で同社は欧州に次ぎ、北米に進出するとともに、エンプラなどの高機能樹脂も手に入れることとなる。同社はまた、中国とインドへの進出を狙っている。 |