2007年05月29日
アジアのスポットエチレン相場が落ち着く
極東でも東南アジアでも2週連続の横這い
【カテゴリー】:市況(海外、原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:なし

 上昇一途にあったアジア地域のエチレンのスポット相場がここにきてようやく落ち着きを取り戻してきた。
 大手商社筋によると、先週の平均相場は極東でも東南アジアでも前の週の平均と同じレベルにとどまっており、取り引き数量にも大きな変化は現われていないという。タイトな状態が続いていたアジア地域のエチレンの需給バランスが緩和に向かい始めたためと見られている。
 
 商社筋の調べによると、先週末の極東地域におけるエチレンのCFR価格はトン当たり1,100〜1,150ドルとなっている。前の週の週末と同一のレベルである。一方、東南アジア地域の価格は1,260〜1,280ドルで、これも前の週の横並びとなっている。
 アジア地域では4月の第1週を境にスポットエチレン価格が下降から上昇に転じ、以降6週間にわたって値上がりしていた。しかし、そうした加熱状態もさすがにここにきて終息の段階を迎えたと言える。この背景については各商社とも、極東におけるエチレンの生産量が6月以降に拡大する見通しがはっきりしてきたことが大きく作用していると分析している。
 
 これは、5月中旬に出光興産が千葉の年産413,300トン能力のエチレン装置の定修を終了して稼動を再開したのに続いて台湾・FPCが年産120万トン能力のエチレン新プラントの操業を25日から開始すると発表したことや、韓国・サムスントタルとYNCCが6月上旬から中旬にかけてともに大型エチレンプラントの定修を終了して再稼動する見込みとなったこと、さらにはサムスントタルの定修が能力増の工事も含めたものであったので6月以降に年20万トンが増産される見込みになったこと等で当面の全体の需給バランスに余裕が生じる公算が濃厚となってきたためと見られる。
 プロピレンの相場も同様の背景から横這いの状態が続いている。先週末の極東のCFR価格は1,090ドル、東南アジアは1,170ドルとなっている模様。