2007年06月07日
Jエナジー、鹿島の大型芳香族設備 建設進む
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:ジャパンエナジー
高さ74メートルのキシレン蒸留塔

 ジャパンエナジーが鹿島石油・鹿島製油所内に建設中の、コンデンセートを原料にした大型芳香族計画「RIPE-X」プロジェクトが話題を呼んでいるが、同社は7日、報道関係者を現地に招き、初めて同工場の“建設現場”を公開した。
 
 総工費約700億円をかけて、パラキシレン年産42万トン、ベンゼン同19万トン、軽質ナフサ同85万キロリットルを製造するという大規模プロジェクト。
 
 原料にコンデンセートを使うのが特徴の一つとなっている。コンデンセートというのは、天然ガスから随伴される液体の炭化水素のことだが、中東などでは利用価値が低いこともあって「引き取り手がない」といわれるほど量は豊富にある。このため原料効率が優れているといえる。
 
 工場ではこのコンデンセートを蒸留分離してLPG、ナフサ、灯軽油としたあと、さらにナフサを脱硫・改質・精製してベンゼンやパラキシレンを製造する。
 
 建設現場は、パイプや階段が縦横に走り、網棚のように足場が組み立てられていた。心臓部に当たるキシレン蒸留塔は高さが74メートルもある。その隣には大きなリアクターが4基設置されるが、いずれも縦ではなく横に並ぶという、わが国ではめずらしい設計という。
 
 建設工事は順調に進んでいるようだ。鹿島石油の執行役員で副所長の溝辺邦俊氏は「今年の9月末には予定通り設備が完成し、来年1月には本格稼動が開始できると思う。初年度からフル稼働を予定している」という。
 
 この事業は、Jエナジー、三菱化学、三菱商事の3社が共同で設立した「鹿島アロマティックス」が運営する。アロマ製品はJエナジー、軽質ナフサは三菱化学が引き取り、三菱商事はコンデンセートの調達とアロマ製品の販売を引き受ける。売上高は年間1,200億円に達する見込みだ。
 
 Jエナジーにとっては、パラキシレンは既存の38万トン(水島、知多)と合わせて80万トン、海外を含めると約100万トン、ベンゼンは同じく既存の32万トンと合わせて50万トンと、規模は一挙にアジア地域でもトップクラスとなる。同社はこうした技術的強みと規模のメリットを活かして、グループの競争力強化を図っていく方針だ。