2007年06月14日
ANの価格、各地で最高値を記録
アジアと欧州で需給が一段と逼迫
【カテゴリー】:市況(海外、原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:なし

 AN(アクリロニトリル)の国際流通価格が各地で軒並み高騰してきた。6月渡し分の価格は中国、インド、欧州等の主要消費各地で過去最高値を記録している。アクリル繊維とABS樹脂の需要の拡大に供給力が追いつかない状態が続いていることによるもの。
 7〜9月期にはAN大手による定修が集中するので、今後需給の逼迫度合いが一段と深刻になる可能性が強く、このため市況は引き続き強含みで推移する公算強い。

 大手ANメーカーや商社筋の調べによると、最大消費国である中国の直近の輸入CFR価格はトン当たり1,740〜1,750ドルとなっている。一ヵ月前に比べると60ドル高い。欧州の平均CFR価格はさらに高く同1,800ドルに、またインドの輸入価格は同1,850ドルまで上がっている。

 欧州の輸入価格が中国以上に高くなっているのは、欧州域内の供給量がANメーカーの操業トラブルと定修による運休によって需要量を大幅に下回る状態が続き、不足分をカバーするため高額のフレートがかかる米国品を急遽手当てする需要家が続出する事態となったからと見られる。

 一方のインドの輸入価格の高騰は、これまで多くを占めていた米国品のかなりの部分が欧州に流れるようになったことで需給が一段と逼迫したことによるもの。

 ANの新・増設はしばらく世界全体で途絶えたままの状態が続く見通しにあり、一方アジア地域ではABS樹脂の増設ラッシュが始まっている。このままいくと世界全体のANの品不足は一段と深刻なものとなる。