2007年06月21日
廃プラの石化原料化に新たな展望
プラ協支援の連続系実験で有力データ
【カテゴリー】:行政/団体(原料/樹脂/化成品、環境/安全)
【関連企業・団体】:プラスチック処理促進協会

 プラスチック処理促進協会は20日、北九州市立大学と同協会とが協力して廃プラスチックを油に還元(油化)するための新たな連続プロセス試験を実施した結果、高品質の接触分解油が効率的に得られることを示す明確なデータを採取できたと発表した。

 今後同大学は、この結果を踏まえて地元企業と協力してセミコマーシャル規模の実証実験設備を建設して同プロセスの実用性の最終確認作業に入る計画。同協会はこれに対しても引き続き側面から支援していく考えだ。工業化技術が確立されると、廃プラスチックの石油化学原料化の道が大きく開け、廃プラリサイクルの有効利用に新たな1ページになる。

 今回の実験は、北九州市立大学の藤元教授(東京大学名誉教授)の提案を受けて04年に同協会が技術開発の支援テーマの一つとして取り上げた廃プラの分解油・ガス化の基礎技術の実用性をロータリーキルン方式の連続系プロセスによって確認するためのものであった。一昨年の横型ラボ設備による実験では高品質の油を得られることが確認済みである。

 しかし、経済性も含めて実際の工業化が可能かどうかは連続運転ができる別の装置を使って確認することが必要であった。そこで同大学では、同協会から廃プラの提供と必要設備の設置や運転等に要する資金面の支援を受けて毎時5キログラムの処理能力のロータリーキルンを使ってランニング実験を実施してきた。

 その結果、ナフサ留分の多い分解油が効率よく得られることを明確に示すデータが収集できた。得られた分解油の組成は、ナフサが46〜58%、灯・軽油が36〜48%、重油が6〜10%で、投入した廃プラのほとんどを石油化学原料として利用できることが確認できたとされる。

 また、最大のポイントであった油中の塩素濃度を、脱塩設備なしで50ppm前後に制御できることも確かめられたという。廃プラの接触分解に廃棄FCC触媒を使用した点も注目される。

 コストに関しては、毎時100キログラム(年間720トン)規模の実証プラントで1キログラム当たり40円ていどに抑えることが可能とのデータを同大学で把握しているという。現在のリサイクルコストがマテリアルリサイクルの場合で同90円、ケミカルリサイクルで60〜80円、油化でも80円と見られている。今回の石油化学原料化手法が実用化されるとコスト面でも圧倒的に優位に立てるわけで、同大学の今後の中規模実証試験計画の行方が注目される。